[Vol.2251] 世界の「分断と共存」を映す側面もある

著者:吉田 哲
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原油反発。中東情勢の悪化懸念などで。74.94ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,056.26ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は16,980元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年08月限は466.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2477.41ドル(前日比16.99ドル縮小)、円建てで13,714円(前日比48円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月8日 18時40分時点 6番限)
21,660円/g
白金 7,946円/g
ゴム 422.3円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「世界の『分断と共存』を映す側面もある」
前回は、「『統合の祭典』としてのワールドカップ」と題して、2026年サッカーワールドカップ参加国の自由民主主義指数(2025年)による分類について、述べました。

今回は、「世界の『分断と共存』を映す側面もある」と題して、2026年大会参加国の対戦状況と自由民主主義指数(2025年)による分類について、述べます。

以下の図は、2026年サッカーワールドカップの対戦カードを、各国の自由民主主義指数を基準に分類したものです。7月6日まで、「西側」同士の対戦が30試合、「西側」と「非西側」の対戦が50試合、「非西側」同士の対戦が9試合ありました。

最も多かった対戦カードは、西側と非西側が対戦したカードでした。ワールドカップが、異なる価値観や政治体制を持つ国々が直接競い合う場となっていることが分かります。

この点は、ワールドカップの各対戦カードが、「国同士」の戦いの様相を呈しやすい背景の一つである、と言えます。もちろん、サッカーは政治とは切り離して考えるべきスポーツです。

とはいえ、参加国の顔ぶれを見ると、民主主義が成熟した国だけで大会が構成されていません。経済発展の段階や政治体制、文化的背景が異なる国々が同じルールの下で競い合うことこそが、現在のワールドカップの特徴と言えます。

世界が多様化する中で、スポーツは異なる価値観を持つ国々を結び付ける数少ない国際舞台となっていると言えるでしょう。

その傾向は、大会を支えるスポンサー企業にも表れています。FIFAパートナーおよび2026年大会スポンサー企業が属する国を、自由民主主義指数によって西側と非西側に分類してみます。

西側には米国、英国、韓国、ドイツ、ベルギーの企業が並び、マクドナルド、コカ・コーラ、アディダス、ヒョンデ、ABインベブなど、世界的なブランドが名を連ねています。

一方、非西側には中国、サウジアラビア、UAE、カタールの企業が含まれ、ハイセンス、蒙牛乳業(メンニウ)、レノボ、サウジアラムコ、カタール航空、ADIプレディクトストリートなどがスポンサーとなっています。

かつて国際スポーツ大会のスポンサーは欧米や日本の企業が中心でした。しかし近年は、中国や中東企業の存在感が急速に高まっています。これはスポンサー構成の変化にとどまらず、世界経済における資本や消費市場の重心が広がっていることを反映しています。

企業は政治体制の違いを超えて世界市場を獲得する必要があり、FIFAもまた、多様な地域の企業と連携することで大会の価値を高めていると言えるでしょう。

現在のワールドカップは、「西側」と「非西側」、双方がルールにのっとった上で競技を行い、それらを通じて大会全体を協力して作り上げる場になっていると言えます。

ワールドカップは世界の一体感を象徴する祭典ですが、その舞台裏では、特に2010年ごろ以降、多様な価値観や経済圏が共存する新しい世界秩序が形成されています。

金(ゴールド)の長期的な需要を考える上では、この「分断と共存」という世界の構造変化を理解することが欠かせないでしょう。

図:2026年大会参加国の対戦状況と自由民主主義指数(2025年)による分類
図:2026年大会参加国の対戦状況と自由民主主義指数(2025年)による分類
出所:V-Dem研究所のデータおよび各種資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。