[Vol.2294] AI・EVブームや円安などが要因

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。中東情勢の悪化懸念などで。94.86ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,442.41ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。27年01月限は19,770元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年10月限は741.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,584.71ドル(前日比1.09ドル縮小)、円建てで13,365円(前日比64円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月9日 17時56分時点 6番限)
22,356円/g
白金 8,991円/g
ゴム 437.2円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY銅先物(期近) 月足 単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 月足 単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「AI・EVブームや円安などが要因」
前回は、「2026年に10円玉が10円を超えた」と題して、10円玉を構成する金属の価値(筆者試算)について、述べました。

今回は、「AI・EVブームや円安などが要因」と題して、10円玉を構成する各種金属の国際相場とドル円相場について、述べます。

以下図は、10円玉を構成する金属の国際相場とドル円相場の推移を示しています。

2010年を100として指数化すると、銅、亜鉛、スズの国際相場は、足元ではいずれも100を大きく上回っています。特にスズの上昇が目立っています。また、近年はドル円相場が大きく円安方向に振れています。

各種金属の国際相場の大幅上昇と急激な円安が重なっていることが、円に換算した10円玉の金属としての価値を、大きく押し上げていると言えます。

金属相場を押し上げている「需要面」のテーマとして、人工知能(AI)や電気自動車(EV)などの世界的なブームが挙げられます。データセンター、送電網、半導体など、電動化が進む分野が拡大し、銅をはじめとする各種金属の需要が増える思惑が強まっています。

また、リーマンショック後に目立っている、金融緩和策を通じた中央銀行による資金供給の拡大が、投機資金の流出入を促し、ひいては各種金属相場を下支えしているとみられます。

同時に、「供給面」にも注目します。2010年ごろ以降、世界的な民主主義の後退、自由度の低下、分断の深化、それらをきっかけとした資源や通貨を武器として用いる動きが目立っています。V-Dem研究所(スウェーデン)が試算・公表する自由民主主義指数の世界平均は、2010年ごろから目立った低下傾向を示しています。

こうした供給懸念を大きくする動きは、各種金属相場を下支えする一因になっていると考えられます。

需要増加観測、供給減少懸念、円安という、複数の要因が同時に作用した結果が、「10円が10円を超える」という事象となり、私たちの目の前に現れていると言えます。

図:10円玉を構成する各種金属の国際相場とドル円相場 2010年を100として指数化
図:10円玉を構成する各種金属の国際相場とドル円相場 2010年を100として指数化
出所:世界銀行などのデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。