米金利上昇で売られた安値は、中長期的な買い場(金相場)

著者:菊川 弘之
ブックマーク
 ただし、今回の宣言で今後の「方向性」が定まったことの意味は大きい。新しい通貨を作れば、中国・ロシア・インド、誰がその発行権を握るのかという権力闘争が必ず起きる。「脱ドル」が、短期的には障害が多い「BRICS共通通貨」という非現実的な目標から、決済インフラの相互接続という現実的・効果的な工程へ進捗したと言えよう。ドル基軸通貨体制を正面突破で倒すのではなく、ドルにも、SWIFTにも、西側の銀行にも触れずに、決済が完結する迂回路を作ることで、それぞれの通貨で、つながる世界を目指すものだ。元CIA分析官ラリー・C・ジョンソンは、「ドル基軸体制を一気に転覆するものではないが、米国が金融制裁に使ってきたSWIFT・ドル決済網を迂回する、実務的で制裁耐性のあるインフラ。新しい準備通貨ではなく、金融の配管である」」と評価している。この配管敷設が進むにつれ、ドルの基軸通貨の根幹は、シロアリに喰われたように揺らいでいくだろう。

 足元で世界的な金利上昇を嫌気して上値が抑えられている金相場だが、日米の中銀ウィークでの決定・発言絡みで売られた安値は、中長期的な買い場を提供することになりそうだ。金の値位置を引き上げてきた大きなテーマ「米覇権・基軸通貨ドルの揺らぎ」は、着実に進んでいる。マザーマーケットのNY金は、支持線を維持しており、東京市場の支持線割れが、ダマシになる可能性。NY市場の支持線の攻防に注目。同水準で下支えられれば、内外共にソーサーボトム上放れ後の「初押し買うべし」パターンとなる。

JPX金(先限)/NY金(12月限)
 
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券インベストメント株式会社 チーフ・ストラテジスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

https://www.nsinvestment.co.jp/

http://market-samurai.livedoor.biz/