先週の原油相場は、外交による緊張緩和への期待と、サウジアラビアへの攻撃や米国の在庫減がぶつかり、大きく揺れました。WTIは10月27日に99.90ドルと2日続落して100ドルを割り込み、ブレントも113.88ドルまで下げました。しかし、その後は買い戻され、10月30日のアジア時間にはWTIが103.4ドル、ブレントが116.5ドルまで戻しています。下げの要因は外交協議への期待でした。サウジ、トルコ、パキスタンの高官がテヘランを訪れ、ペゼシュキアン大統領と緊張緩和を話し合いました。オマーンの仲介や、米国が協議の再開を探っているとの報道もあり、市場には楽観が広がりました。ただ、現場の攻撃は止まっていません。サウジはリヤドに向けた弾道ミサイルを迎撃し、フーシ派はサウジ最大のラスタヌラ製油所とキング・ファハド国際空港を攻撃しました。製油所の近くでは火災が起きています。リビアでも、タハラ油田とハマダ油田で警備部隊がバルブを閉鎖し、出荷が大きく減りました。米国の在庫統計も相場を支えました。EIA(米エネルギー情報局)の10月23日終了週の統計では、原油在庫が190万バレル減り、市場予想の10万バレル減を上回って4週連続の減少となりました。米国の原油輸出は日量490万バレルへ急増しています。輸送面では、ホルムズ海峡の10月の通航量が日量1,170万バレルまで戻ったものの、平年より約26%少ない状態です。中東から中国向けのVLCC(大型原油タンカー)の運賃は日額91.7万ドルで、8月から約570%上昇しました。この運賃の重さから、韓国勢による米国産原油の発注は半減しています。一方、イラク産原油は1バレルあたり25~28ドルの値引きでインドに売られ、インドはロシア産から中東産へ戻る動きが出ています。中東とロシアの製油所の被災で、世界の精製能力の12%が失われており、軽油やガソリンの逼迫は2027年まで続く見通しです。ゴールドマン・サックスは、ブレントの適正価格を約85ドルとみて、約27ドルが地政学リスクの上乗せ分だと試算しています。

出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
今週最大の節目は、11月3日の米中間選挙です。米政府が湾岸諸国に対し、選挙後に短期・集中的な軍事作戦があり得ると警告したとのWSJ報道を、市場は重く見ています。作戦が実際に始まれば、供給への不安が一気に強まり、価格が大きく跳ね上がる可能性があります。反対に、外交協議が進んで作戦が見送られれば、上乗せされた地政学リスクが剥がれ、急落もあり得ます。選挙の結果そのものより、その後の米軍とイランの動きが焦点になりそうです。選挙の前日の11月1日には、イランが韓国のシノコーの船に対して法的措置を取るとした期限が来ます。シノコーはホルムズ海峡のタンカー交通量の2割以上を担っており、実際に排除が始まれば、海峡の流れがさらに細る恐れがあります。サウジの施設への攻撃が続くかどうかも、引き続き注意が必要です。足元の価格は、中東の緊張を織り込んで高い水準にあります。ただ、投機筋の動きをみると、WTIは100ドルを下回る場面で、100ドル超のコールオプションの買いが目立ちました。一方、ブレントは下落に備えるプット戦略が中心で、強気と慎重な見方が割れています。運賃の高止まりで先物と現物の乖離が続けば、先物の上値を抑える要因にもなります。このほか、米国のEIA週間在庫が来週も焦点です。欧州と日中韓の寒波予報は、ガスや電力に加えて、暖房油やディーゼルの需要を通じて、石油製品の逼迫を強める可能性があります。

出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
今週最大の節目は、11月3日の米中間選挙です。米政府が湾岸諸国に対し、選挙後に短期・集中的な軍事作戦があり得ると警告したとのWSJ報道を、市場は重く見ています。作戦が実際に始まれば、供給への不安が一気に強まり、価格が大きく跳ね上がる可能性があります。反対に、外交協議が進んで作戦が見送られれば、上乗せされた地政学リスクが剥がれ、急落もあり得ます。選挙の結果そのものより、その後の米軍とイランの動きが焦点になりそうです。選挙の前日の11月1日には、イランが韓国のシノコーの船に対して法的措置を取るとした期限が来ます。シノコーはホルムズ海峡のタンカー交通量の2割以上を担っており、実際に排除が始まれば、海峡の流れがさらに細る恐れがあります。サウジの施設への攻撃が続くかどうかも、引き続き注意が必要です。足元の価格は、中東の緊張を織り込んで高い水準にあります。ただ、投機筋の動きをみると、WTIは100ドルを下回る場面で、100ドル超のコールオプションの買いが目立ちました。一方、ブレントは下落に備えるプット戦略が中心で、強気と慎重な見方が割れています。運賃の高止まりで先物と現物の乖離が続けば、先物の上値を抑える要因にもなります。このほか、米国のEIA週間在庫が来週も焦点です。欧州と日中韓の寒波予報は、ガスや電力に加えて、暖房油やディーゼルの需要を通じて、石油製品の逼迫を強める可能性があります。

