週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比2.72ドル安の55.78ドル、ブレント原油は2.38ドル安の62.25ドルとなった。

 前週末の海外原油はリグ稼働数の増加や週末を控えた利食い売りに押され上値を抑えられる場面も見られたが、株価の上昇などが支えとなり小幅に上昇した。

 先週はリビアの石油関連施設が閉鎖されたことで週明けは上昇して始まったものの、中国で発生したコロナウイルス拡大への懸念などでリスク回避ムードが広がると、週末にかけては軟調な推移となった。週明け20日は、先週末にリビアで暫定政権と対立するリビア国民軍(LNA)が主要な石油港やパイプラインを閉鎖したとの報が伝わったことで上昇した。これにより同国の石油生産量は日量80万B程度減少する見通しとなっており、需給の引き締まりが意識される格好となった。翌21日はリビアの減産も他国の増産で埋め合わせることができるとの見方が広がり小幅に下落した。週中22日は、中国で発生した新型コロナウイルス拡散への懸念や、それによるジェット燃料など石油製品需要の減少が警戒され下落した。また、IEA事務局長が今年前半の石油市場は日量100万Bの供給過剰になると述べるなど、需給の緩みが指摘されたことも重しとなった。朝方発表のあったAPI統計においては原油、製品在庫ともに増加していたことが嫌気されると、週末にかけても引き続きコロナウイルスの感染拡大が警戒されたことが重しとなり軟調な推移となった。ただし、EIA統計において原油在庫が増加予想に反して予想外に減少していたことや、製品在庫においても予想より増加していなかったことが好感されると、安値からは切り返し下げ幅を縮小する動きとなった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。