“サウジ頼み”をやめれば、減産強化は効果が上がる!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。51.20ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,567.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,325元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年04月限は404.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで604ドル(前日比0.15ドル拡大)、円建てで2,123円(前日比100円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月7日 大引け 先限)
 5,526円/g 白金 3,403円/g 原油 37,290円/kl
ゴム 175.2円/kg とうもろこし 23,780円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「“サウジ頼み”をやめれば、減産強化は効果が上がる!?」

前回は「減産強化の規模は、少なくとも日量40万バレル以上必要」として、現在、OPECプラスの配下組織であるJTC(共同技術委員会)が、仮に減産強化を総会に勧告する場合、少なくとも日量40万バレル以上の強化が必要であることについて書きました。

今回は、「“サウジ頼み”をやめれば、減産強化は効果が上がる!?」として、協調減産開始以来、OPEC加盟国の中で減産に参加している国々の原油生産量に注目します。

以下のグラフの“OPEC内6カ国”とは、2017年1月からはじまった協調減産において継続して減産に参加している7カ国のうち、サウジを除く、UAE、アルジェリア、アンゴラ、イラク、ガボン、クウェートの6カ国です。

グラフは、サウジ及び6カ国合計、それぞれの原油生産量の推移を示しています。

2017年1月から始まった協調減産は減産の基準は、原則、2016年10月の生産量でした。

2018年12月に減産のルールが変わり、その際、基準の生産量も変わりましたが、“一連の協調減産の始まり”という意味では2016年10月の生産量が適していると筆者は考えています。

現在の協調減産の原点ともいえる2016年10月の生産量と比較すると、2020年1月の生産量はどのような水準なのでしょうか。

サウジは88万バレル減少、6カ国合計は日量74万バレル減少と、サウジ1国で6カ国合計の減少量を超えています。

協調減産を実施するにあたり“サウジ頼み”の構図が見えます。

本日(2月7日)、日量60万バレルの追加減産が勧告されたようですが、前回述べた“日量約40万バレルの余剰削減量”を有していることから、実態としては日量20万バレル程度の減産となるとみられます。

“実態が伴った”、そして“サウジ頼みではない”、真っ当な減産を目指すのであれば、これらの6カ国が大胆に減産を実施する必要があります。

図:サウジおよび減産を継続的に実施しているOPEC加盟国6カ国の原油生産量
単位:百万バレル/日量
サウジおよび減産を継続的に実施しているOPEC加盟国6カ国の原油生産量

出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。