OPEC・非OPECのリーダー達の減産への温度感を比較する

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。51.46ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,591.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,640元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年04月限は406.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで608.25ドル(前日比9.35ドル縮小)、円建てで2,137円(前日比27円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月18日 19時24分頃 先限)
 5,599円/g 白金 3,462円/g 原油 37,860円/kl
ゴム 185.8円/kg とうもろこし 23,700円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPEC・非OPECのリーダー達の減産への温度感を比較する」

前回はロシアの減産順守率の計算根拠となる原油生産量と生産量の上限について書きました。

今回は「OPEC・非OPECのリーダー達の減産への温度感を比較する」として、2017年1月の協調減産開始以降の、OPECプラスにおけるOPEC側のリーダー格であるサウジと、非OPEC側のリーダー格であるロシアの原油生産量の推移を確認します。

多くの場合、ロシアの原油生産量のデータには、天然ガス田などから採取される天然ガス液(NGL)が含まれています。

以下のグラフのとおり、2017年1月の協調減産開始後、2019年1月にルール変更が適用され、2020年1月に強化された減産が始まりました。

この間、ロシアは生産量の水準を切り上げ、逆にサウジは水準を切り下げました。

減産期間中における原油生産量の水準の切り上げは、減産実施への温度感の低さを、水準の切り下げは温度感の高さを意味すると考えられます。

つまり、サウジとロシアは、同じリーダー格でありながら、減産に対する温度感に差があり、かつその温度感の差に拡大が見られたわけです。

温度感の差の拡大は、減産実施への意見の相違の拡大を示しているとみられます。

また、温度感の差が拡大した要因には、減産期間が長くなっていることが関係していると筆者は考えます。

3月5日・6日の総会で、4月以降の減産延長が決まる可能性がありますが、仮に延長が決まった場合、さらに温度差が拡大する可能性がある点に注意が必要です。

図:サウジとロシアの原油生産量の推移 単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。