ロシアの原油生産量の推移を確認する

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。52.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,583.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,685元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年04月限は410.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで612.35ドル(前日終値比5.25ドル縮小)、円建てで2,151円(前日終値比4円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月17日 18時24分頃 先限)
 5,577円/g 白金 3,426円/g 原油 38,240円/kl
ゴム 186.7円/kg とうもろこし 23,610円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ロシアの原油生産量の推移を確認する」

今回は、ロシアの減産順守率の計算根拠となる原油生産量と生産量の上限について書きます。

以下のグラフは、IEAが毎月公表している月次レポートに掲載されているロシアの原油生産量のデータと、OPECが公表した減産時の生産量の上限を示しています。

2019年1月からの減産は、2018年11月の生産量を基準に行われました(OPECの資料では10月ですが、11月に変わったと報じられています)。

また、2020年1月からは、基準の生産量は同じですが、2019年12月までの削減量に日量7万バレルを追加して削減することとなっています。

グラフ内の赤の横線が、2020年1月に入り、一段下がっている箇所が、日量7万バレルの追加削減を示しています。

振り返ってみれば、2019年、ロシアの原油生産量が減産時の上限を下回った月、つまり減産を順守できた月は、5月から7月の3カ月間だけでした。

北半球の気温が上昇するこの時期、石油生産施設の定期修理が行われるため、生産量が減少する傾向があると言われています。

施設の定期修理による自然減でかろうじて減産順守を達成した月以外は、減産非順守だったわけです。

先日、JTC(共同技術委員会)で、日量60万バレルの追加削減をOPEC総会に勧告することが決まりましたが、その肝心な総会は、緊急会合と称して2月中に行われる話が持ち上がったものの、まだ行われていません。

総会が行われないのは、ロシアが一因である可能性があります。

ただでさえ、減産を順守できていない状況の中、ここからさらに減産を強化(削減量を増加)するとなると、今よりもさらに、減産を順守しにくい状況になりかねません。

まずは、3月5日・6日の総会はどのような結末を迎えるのでしょうか。それまでの過程を含め、注目したいと思います。

図:ロシアの原油生産量と減産時の生産量の上限   単位:百万バレル/日量
ロシアの原油生産量と減産時の生産量の上限

出所:IEA(国際エネルギー機関)のデータおよび各種報道をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。