金価格下落の要因 東京金価格は2月25日の5,913円を直近のピークとして、3月17日の4,876円まで▲1,037円約▲18%下落した。この反落を正確に予測できた人は少ないと思う。 新型コロナウイルスの影響は未だ終わっておらず、先行き不透明な状況に変わりはない。ただ、市場はサプライズには弱く大幅な反応を示すが、そのサプライズが十分織り込まれれば、そのニュースでは反応しなくなることが多い。新たなサプライズが現れない限り、最初の衝撃の余韻はたとえその症状が未だ続いているとしても、徐々に薄れていく。 米国の二回にわたる利下げが米国の株価には特効薬とはならなかったのは少しサプライズであった。これでは政府は手の打ちようがないだろう。 しかし、富士フイルムの株価が急反発しているように、株価の中でも新たな展開が見られる。米国ではワクチンの人体治験が始まり、世界各国で対新型ウイルス対策が急ピッチで進められている。いずれこの問題も収束するであろう。 世界の観光地や航空会社は大きなダメージを受け、当分顧客の復帰は見込めないだろう。コンサート等の興業収入も大打撃に違いない。売り切れとなったトイレットペーパーやマスクの需要は需要の先食いに過ぎないので、後から反動が来るだろう。 さて、金価格もこうした反動がいち早く表れたものと思われる。新型コロナウイルス問題だけで、金価格は1年も2年も上昇すると思うことの方が幻想であろう。いつ反落するかは時間の問題であり、それがいち早く表れ、そして少し早すぎたか、と再度反発する動きとなっているが、これも長期に続くものではない。市場は次の話題に向けて新種のネタを探し始めている。