[Vol.2169] 週の後半に牙をむいた原油相場

著者:吉田 哲
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原油反発。中東情勢の混迷などで。103.32ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。5,102.84ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年05月限は16,895元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。26年04月限は771.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで3005.19ドル(前日比11.81ドル縮小)、円建てで16,351円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月9日 19時37分時点 6番限)
26,979円/g
白金 10,628円/g
ゴム 373.9円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「週の後半に牙をむいた原油相場」
前回は、「原油相場の動向は『差し引き』で考える」として、ニューヨーク原油先物(期近)日次平均と変動要因の例を、確認しました。

今回は、「週の後半に牙をむいた原油相場」として、NY原油先物(期近)週次終値を、確認します。

イラン戦争が勃発し、およそ1週間が経過した3月9日(日本時間午前)のニューヨーク原油先物(ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物)価格は、1バレル当たり110ドル近辺に達しました。同戦争勃発直前の2月27日の終値が67ドルでした。およそ1週間で価格が50%以上も上昇しました。

主要銘柄の2月27日の終値と3月9日(日本時間午前)を比較した騰落率を確認すると、原油が突出して上昇したことが分かります。また、同戦争勃発を機に価格が上昇すると目された金(ゴールド)は、下落しました。

金(ゴールド)相場が下落した理由は、「現金化」が進行したためだと、考えられます。2020年3月の新型コロナショック時にも発生した、世界を覆う強い不安心理が生じた際に起きる現金を求める動きです。ドルの複数の主要国通貨に対する強弱を意味する「ドル指数」が反発していることが、それを示しています。

こうした、金(ゴールド)とて売られる総悲観が進行し、ドルが買われ、金(ゴールド)や株価指数が売られました。銅も産業用の需要が多い貴金属も、売られました。

一方で、ココアやコーヒー、小麦、トウモロコシなどの農産物の価格は上昇しました。原油相場が急騰したことを受けて、海上運送における運賃や保険料が上昇する懸念が浮上したことが、主な理由に挙げられます。

主要銘柄の全体的な動きを主導した原油相場の異常とも言える上昇は、3月1週目の後半から目立ち始めました。同戦争勃発直後、早期終結などへの期待が浮上していたものの、週の後半になると、イランの反撃が大変に目立つようになりました。

サウジアラビアやアラブ首長国連邦など、アラビア湾(ペルシャ湾)周辺の産油国の石油関連施設や、ホルムズ海峡を航行するタンカーへの攻撃を強めました。

そして、3月9日の日本時間の早朝、イランの次期最高指導者に前最高指導者の方針を引き継ぐ人物が据えられるとの報道があり、「売り手が売りにくい・買い手が買いにくい」状況が長期化する懸念が強まっています。こうした流れを受け、原油相場が異常な上昇を演じたと、言えます。

図:NY原油先物(期近)週次終値 単位:ドル/バレル
図:NY原油先物(期近)週次終値 単位:ドル/バレル
出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。