ウィリアム・D・ギャンは最も大切なルールとして「ストップロス」を挙げている。ただ、彼の理論は奥が深い。商品先物取引で、例えば100万円を持っていて、投資をするとしよう。金価格が上がると思い、26万4千円の証拠金で金を1枚5,400円/㎏で買ったとする。このとき▲50円安の5,350円/㎏でストップロスの仕切り売りオーダーを入れる。ここまでは当たり前である。そうすれば寝ていても、▲5万円のロスで終わる。100万円持っていれば、20回連続で負けることができる。運が悪い場合は10回連続で負けることもあるだろう。だがそれでも50万円の資本は残っている。通常でも数万円の損益が毎日発生している。何もしないと、あっという間に100万円がなくなることは十分あり得る。 もし価格が運よく上昇トレンドになった場合、ストップロスはさらに威力を発揮する。どうするかというと、5,350円で売り指値注文していたものを取り消して、今の価格から50円下がったところに入れ直すのである。たとえば、金価格が5,500円になって100円すなわち1枚当たり10万円の評価利益が出たとする。その場合は5,450円にストップロス注文を入れ直せば、最悪の場合でも5万円の利益は確保される。よく『利益が出ても放っておいたら損になってしまった。あのときプロフィットテイクをすれば良かった』と嘆く人が多いが、価格がどうなるかは神のみぞ知るである。だから、損はしないように、常に体制を整えておくことが肝心である。