ついに来月からの米シェール減少が確実に!?①

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。24.38ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,687.10ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,070元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年06月限は292.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで947.7ドル(前日比9ドル拡大)、円建てで3,233円(前日比7円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(4月8日 18時16分頃 先限)
 5,763円/g 白金 2,530円/g 原油 25,780円/kl
ゴム 152.0円/kg とうもろこし 22,930円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「ついに来月からの米シェール減少が確実に!?①」

前回は「減産実施は、ニュースリリースの件数を減少させる?」として、2017年1月に始まり2020年3月に終了したOPECプラスの協調減産の前後に、OPECのウェブサイトに掲載されたニュースリリースの件数の推移に注目しました。

今回は「ついに来月からの米シェール減少が確実に!?①」として、昨日EIA(米エネルギー省)が公表した、月次の短期見通しをもとに、米国の原油生産量の見通しをとりあげます。

EIAは毎月第2週目に、短期見通しを公表しています。この中には、米国の原油生産量の見通しが含まれています。

以下のグラフの通り、2020年の米国の原油生産量の見通しにおいて、1月に公表された“1月公表”、順に“4月公表”まで、短期見通しが公表されるたびに、見通しが引き下げられていることがわかります。

“3月公表”は、原油価格の歴史的な急落が起きる前までに作成されたとみられ、まだ年末にかけて見通しがやや減少する程度でしたが、同急落を加味した“4月公表”は、大幅な見通し引き下げとなりました。

4月の短期見通しに記載された3月の米原油生産量の実績値は、日量1272万バレルで、見通しにおいて最も少ない値となった10月の生産量は日量1097万バレルでした。

3月から10月にかけて、米国の原油生産量が日量175万バレルも、減少する計算です。

次回以降書きますが、米原油生産量のおよそ70%は、米シェール主要地区によるものです。

つまり、米国全体の原油生産量が日量175万バレル、3月から10月にかけて減少するのであれば、その70%にあたる日量122万バレル程度の減少は、米シェールによるものと想定されます。

米シェールの生産量の動向は、元OPECプラスが今後の方針を決める際の大きなカギになるとみられます。

次回以降、昨日の短期見通しをもとにした、米シェール主要地区の原油生産量の見通しについて書きます。

図:EIAによる2020年の米国の原油生産量の見通し 単位:百万バレル/日量
EIAによる2020年の米国の原油生産量の見通し

出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。