週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比3.83ドル安の19.62ドル、ブレント原油は3.45ドル安の28.58ドルとなった。

 前週末の原油相場は海外市場がイースターで休場となる中で動意ない推移だったが、米国、サウジ、ロシアなどの産油国が足並みをそろえて減産に踏み切ったことが好感されると時間外では堅調に推移した。

 先週は、先週末にOPECプラス及び米国やカナダ等の産油諸国が協調して日量約1500万Bの減産で最終合意したものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって失われた石油需要は3000万B以上とも言われている中で、減産規模が不十分だとの見方が強く、軟調な推移となった。週明けはコロナウイルスの流行による石油需要の減少が重しとなり売りが先行して始まったものの、サウジエネルギー相が世界の減産規模は実質的に日量1950万Bに達すると述べたほか、6月のOPECプラス会合でも必要があれば減産を強化する姿勢を示したことが好感され下げ幅を縮小した。翌14日は再び売りに押され軟調に推移すると、週中にかけてはIEAの月報において4月の石油需要が日量2900万B減少し、25年ぶりの低水準に落ち込むと予想されたことが嫌気された。また、同日発表のあったEIA統計では原油在庫が1920万B増加、製品在庫も予想以上に増加していたことが示され過去最高の増加幅となったことや、石油需要が統計以来過去最低水準を更新したことなどが嫌気された。週末にかけては押し目買いや自律反発の動きから堅調に推移すると、米国や欧州の一部でロックダウンの緩和を検討中との報から、経済活動が再開されれば石油需要が回復するとの期待感が高まり小幅に上昇する格好となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。