減産初月、OPEC側は減産順守できず②

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。36.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,750.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,300元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年07月限は278.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで854.55ドル(前日比5.35ドル拡大)、円建てで3,115円(前日比10円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月2日 19時4分頃 先限)
 6,024円/g 白金 2,909円/g 原油 27,050円/kl
ゴム 155.6円/kg とうもろこし 22,540円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「減産初月、OPEC側は減産順守できず②」

今回は「減産初月、OPEC側は減産順守できず②」として、前回述べたOPECの2020年5月の原油生産量と、減産の順守状況を、別の海外メディアのデータで確認をします。

これによれば、現在のOPEC側の減産は、今年3月までと同様、イラン、リビア、ベネズエラの3つ除く、合計10の国で行われています。

また、5月と6月は、日量970万バレルを、OPECプラス全体で削減することになっていますが、OPEC側はその3分の2にあたる600万バレル強を負担することになっています。

この海外メディアのデータによれば、OPEC側の5月の削減量は、およそ470万バレルで、減産順守率は77%と推計され、5月は、OPEC側は減産を順守できなかったことがわかりました。

各国の減産の状況を見ると、サウジやUAE、アルジェリアは、比較的、減産順守率は高いですが、それでも100%は超えていません。

今後は、サウジやUAEなどがさらに率先し、そして比較的、生産量が多く、かつ減産順守率が低い、イラクやナイジェリアなどの国がさらに、減産を実施する必要があります。

5月のOPECプラスの、OPEC側の減産の状況について、ひとまずは、減産を順守する意思はあり、意思はあるものの、削減目標のハードルが高く、減産を順守できていない、と言えると思います。

また、OPECプラスの中でも、ロシアを含んだ非OPEC側のデータも併せて、専門機関が、来週と再来週に公表します。

これらのデータがそろえば、OPECプラスの5月の減産の状況を、把握できるようになります。

今のところ、6月10日にOPECプラスの会合があると、されています。OPEC側はまだ、十分な減産をできていませんが、おそらくこの会合で、減産強化が話し合われるとみられます。

削減量を増やし、減産を強化することが決定しても、そのルールを守ることができるか、という疑問は残るとみられます。

図:OPECの2020年5月の原油生産量と減産順守状況 単位:百万バレル/日量
OPECの2020年5月の原油生産量と減産順守状況

出所:海外主要メディアのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。