原油市場の目先の、消費・生産減少要因を確認

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。40.88ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,771.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は10,400元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年08月限は298.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで930.65ドル(前日終値比7.95ドル拡大)、円建てで3,220円(前日終値比8円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(6月23日 18時21分頃 先限)
 6,051円/g 白金 2,831円/g 原油 28,890円/kl
ゴム 157.6円/kg とうもろこし 22,750円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「原油市場の目先の、消費・生産減少要因を確認」

前回は「新型コロナ、世界全体では“第1波拡大中”」として、2020年2月以降の、世界全体の新型コロナウイルスの感染者数(前日比)の動向について書きました。

今回は「足元の原油市場の消費・生産減少要因を確認」として、足元の消費減少要因と、生産減少要因について、筆者の考えを書きます。

ここで言う、消費減少要因とは、新型コロナの感染状況を起点とした要因です。

これは、世界全体の第1波が終わらない懸念と、米国で第2波が発生する懸念が、世界全体および米国の、石油の消費見通しの水準を引き下げているとみられる点です。

消費動向への見方が、弱気になっていることから、この点は原油相場の下落要因になる可能性があります。

一方、生産減少要因とは、OPECプラスの減産と、EIA(米エネルギー省)による米国の原油生産量の見通しを起点とした要因です。

これは、5月から再開したOPECの減産について、5月・6月の減産未達分を7月から9月にかけて埋め合わせることが決定している点、そして、来年3月の米国の原油生産量が、今年3月に比べて日量200万バレル超も減少することが見通されている点(EIAの見通し)です。

原油価格への影響としては、第1波にしても、第2波にしても、新型コロナの感染が確認されてから半年以上経過していることから、OPECプラスの埋め合わせ条件付き減産やこれまで増加一辺倒だった米国の原油生産量の記録的な減少見込み、の方が、“材料の真新しさ”という点で、市場に与えるインパクトは大きくなる、つまり上昇圧力が勝る、と考えられます。

いずれにせよ、材料を点で見ずに、俯瞰することが重要だと考えます。

図:原油市場の目先の、消費・生産減少要因
原油市場の目先の、消費・生産減少要因

出所:筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。