週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は先週比3.72ドル安の37.26ドル、ブレント原油は3.74ドル安の39.96ドルとなった。

 前週末の海外原油は米株が急落したことや、米雇用統計の伸びが鈍化していたことが嫌気され軟調な推移となった。また、WTIでは節目の40ドルを下回ったことからテクニカル要因の売りも見られた。

 先週は前週末に米株が一時1000ドル安をつけるなど急落した流れを引き継ぐ形で軟調に推移すると、リスク回避姿勢の強まりから下値を試す展開となった。週明けはサウジアラビアがアジア向け公式販売価格(OSP)を引き下げたことや中国で石油需要が鈍化していることが重しとなり軟調な推移となった。サウジアラビアの値下げはアジアでの石油需要が停滞している兆候ととらえられており、石油需要の鈍化が懸念される格好となった。翌8日も弱い地合いが続くと、世界第3位の石油消費国であるインドをはじめ、英国やスペインなど欧州の一部でコロナが再拡大していることから石油需要停滞への懸念が強まり大幅続落した。翌9日は自律反発する格好で買いが入ると、在庫統計での原油の減少予想などが支えとなり反発した。週末にかけてはEIA統計において原油在庫が予想外に増加していたことが嫌気されたほか、ガソリン需要が2週連続で減少するなど需要の低迷が示されたことから軟調な推移となった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。