米国の原油在庫と原油生産量を短期的視点で確認する

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。56.51ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1426.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)上昇。9月限は10860元/トン近辺で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。9月限は440.6元/バレル近辺で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで538.3ドル(前日比4.3ドル縮小)、円建てで1867円(前日比6円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(7月25日19時30分頃 先限)
 4945円/g 白金 3078円/g 原油 40200円/kl
ゴム 188.6円/kg とうもろこし 24620円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米国の原油在庫と原油生産量を短期的視点で確認する」

前回は「米国の原油在庫と原油生産量を長期的視点で確認する」として、米国の原油在庫と原油生産量の動向に注目しました。

月次ベースで米原油在庫と原油生産量が増加傾向にあることを書きました。

今回は「米国の原油在庫と原油生産量を短期的視点で確認する」として、前回と異なり、米国の原油在庫と原油生産量の短期的動向に注目します。

前回書いたとおり、毎週、米エネルギー省(EIA)は週間石油統計において、前週時点での米国の原油在庫と原油生産量などを公表しています。

昨日公表されたデータでは、以下のグラフのとおり、米原油在庫・原油生産量、ともに大きく前週比で減少しました。

7月19日時点で、米原油在庫は4億4504万1000バレル、米原油生産量は日量1130万バレルでした。

米国の原油供給は、シェール主要地区の原油生産量の増加が続いているため、原油相場が上値を目指すことに対する大きな重石として報じられることがあります。

その意味では、昨日の週間石油統計の内容は重石が軽くなる内容と言えました。

しかし、昨晩の原油相場は下落しました。なぜでしょうか?

筆者はドル指数が上昇し、ドル建ての商品に他の通貨建ての同じ商品に対する割高感が生じたことが一因であると考えています。

原油相場におけるテーマが、米国や中東、OPECなどに起因する供給の増減観測や、世界の景気動向に起因する消費の増減観測などの、需給要因から、ドルや金利などに起因する金融要因に変わってきた可能性があります。

昨日の週間石油統計の内容と原油相場の動きは、原油相場が今後、本格的に金融要因で動く可能性があることを示唆していると思います。

図:米国の原油在庫と原油生産量(週次ベース)


出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。