[Vol.1008] 「お祭り中断」はビットコインの急落開始が一因

著者:吉田 哲
原油反落。米主要株価指数の反落などで。68.89ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,894.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。21年09月限は13,375元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。21年07月限は448.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで707.85ドル(前日比9.35ドル縮小)、円建てで2,495円(前日比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月3日 19時3分頃 先限)
6,685円/g 白金 4,190円/g
ゴム 241.0円/kg とうもろこし 35,440円/t

●シカゴトウモロコシ先物(期近) 日足  単位:ドル/ブッシェル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「「お祭り中断」はビットコインの急落開始が一因」

前回は、「調整色を強めるビットコインも金相場の上昇要因」として、前々回に続き、重要とみられる3つのテーマの1つ、「代替通貨」について述べました。

今回は、「「お祭り中断」はビットコインの急落開始が一因」として、5月上旬を機に、一時的にコモディティ(商品)の一部銘柄が調整色を強めていることについて述べます。

例えば、5月上旬に木材先物価格は史上最高値を更新しました。米国の(一部日本でも)住宅建材価格を押し上げる要因となり、「ウッド・ショック」などと呼ばれました。

また、同時期、穀物や植物油関連銘柄が記録的な水準への上昇したことで、わたしたちの食生活に欠かせない、マヨネーズやマーガリン、食用油の小売価格が上昇しました。

ただ、5月の上旬以降は、全体的な流れが変化しつつかります。筆者が抽出した主要21銘柄における、4月16日から5月7日までの上昇銘柄数は17、下落銘柄数は4でしたが、5月7日から28日までは、上昇銘柄数が6、下落銘柄数が15でした。5月上旬を機に、多くの銘柄が調整し始めたことがわかります。

指標となる国際価格の調整が始まってから、関連する末端の製品(住宅建材や食用油関連の製品)価格の下落が始まるまで、時差がある点に留意が必要です。

一時、複数の銘柄が同時に大きく騰勢を強めて「お祭り」の様相を呈しましたが、そのムードが中断しつつあるわけです。「お祭り中断」の背景の一つに、ビットコインなどの暗号資産の下落が挙げられると、筆者は考えています。

以下は暗号資産の主要銘柄である、ビットコインとイーサリアムの価格推移です。

ともに、全体的なムードが変化し始め、「お祭りの中断」が鮮明になった5月上旬から、大きく下落しています。ビットコインはおよそ40%、イーサリアムはおよそ30%、下落しています。

このような暗号資産の大幅下落は、市場全体の景気回復ムードに水を差し、一時的に、これまで底流してきた「期待先行」の好ムードを弱めるきっかけになっていると考えられます。

今後も、コモディティ(商品)市場の動向を考える上で、市場を横断した全体的なムードを「リスク・オン」あるいは「リスク・オフ」に導くことがある暗号資産の動向を注視する必要があります。

図:暗号資産の価格推移


出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。