[Vol.1850] ラーニング(学習)ゾーンへの移行が急務

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,613.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は17,815元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年12月限は525.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1660.75ドル(前日比2.65ドル拡大)、円建てで8,362円(前日比36円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月13日 17時41分時点 6番限)
13,080円/g
白金 4,718円/g
ゴム 345.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,125円/mmBtu(25年2月限 11月11日17時51分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「ラーニング(学習)ゾーンへの移行が急務」
前回は、「世界はトランプ氏にマウントされている」として、トランプ2.0環境下の「全体観(一例)」を確認しました。

今回は、「ラーニング(学習)ゾーンへの移行が急務」として、人の「二つのゾーン」を確認します。

筆者は、世界がトランプ2.0に突入し、これまでに述べてきた考え方がいよいよ本格的に望まれるようになったと、感じています。

前回述べたとおり、トランプ2.0は「悲喜こもごも」な環境であるため、反対の要素が世界のどこかに同時に存在する可能性が高くなります。世界の主要な株価指数や世界各国で消費されるコモディティ(国際商品)の相場が、世界中で起きている事象の影響を受けながら推移していることを考えると、それらと向き合う市場関係者は、注目する事象と反対の事象を想定しなければなりません。

以下の図のとおり、コンフォート(快適)ゾーンからラーニング(学習)ゾーンに移行することで、その道がひらけます。

コンフォートゾーンとは、安全・安心を重んじ、低リスク・リターンで少し退屈、安全と制御への誤解をはらむ安心・退屈な状態と、他人に気を取られ、言い訳・弁解をし、自尊心が低く、間違いを気にする依存・低信頼の状態の総称です。

ラーニングゾーンとは、挑戦して問題を解決し、過ちを認め、新しいスキルを獲得し、高い自尊心を持つ自立・高信頼の状態、さらには、夢を謳歌(おうか)して高揚感に浸り、目的と意義を発見し、新しいゴールの設定する誰・何にも制限されない状態の総称です。

喜に対する悲(明に対する暗)という、反対の事象を想像するためには、目の前の事象を理解し、反対の意味を明確にする必要があります。この際に必要なことは、反対の意味を定義するより多くの語彙と反対の事象を受入れる覚悟です。

また、多くが目に見えない事象であるため、抽象的な発想も欠かせません。抽象的な発想の際は、複数の事象をつなげて線や面、立体に拡張する必要があります。

コンフォートゾーンでの発想では、「悲喜こもごも」の性質を持つトランプ2.0環境下の市場を理解することは難しいでしょう。ラーニングゾーンでの発想でしか、トランプ環境2.0下の市場分析はできないと、筆者は考えています。

われわれ市場関係者は、今すぐにでも、ラーニングゾーンに移行し、「点」で状況を把握することが許された「過去の常識」を、いったん横に置く必要があるのです。分かりやすいから、という理由で過去の常識に依存してはいけないのです。市場を取り巻く環境は、トランプ氏が大統領に返り咲いたことで、変わったのです。

図:人の「二つのゾーン」
図:人の「二つのゾーン」
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。