[Vol.1851] 金(ゴールド)の「悲喜こもごも」を分解

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.39ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,560.80ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は17,620元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年12月限は523.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1621.9ドル(前日比21.10ドル縮小)、円建てで8,208円(前日比10円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月14日 17時10分時点 6番限)
12,878円/g
白金 4,670円/g
ゴム 343.8円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,125円/mmBtu(25年2月限 11月11日17時51分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)の『悲喜こもごも』を分解」
前回は、「ラーニング(学習)ゾーンへの移行が急務」として、トランプ2.0環境下の「全体観(一例)」を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)の『悲喜こもごも』を分解」として、トランプ2.0環境下における金(ゴールド)相場の環境(一例)を確認します。

金(ゴールド)相場の「悲喜こもごも」について、書きます。ここでは、喜(明)を上昇要因、非(暗)を下落要因とします。以下の図のとおり、トランプ氏は、複数の上昇要因と、同時に複数の下落要因をもたらす可能性があります。

上昇要因は、中東リスク拡大、米中リスク拡大、米利下げ・ドル安加速観測、米国の民主主義停滞、世界分断深化、中央銀行の買い増加などです。下落要因は、トランプ・トレード(株高・ドル高)継続、利上げ(インフレ退治)観測、ウクライナ戦争縮小観測、東アジア情勢悪化停止観測などです。

トランプ氏は、ほぼ同時にこれらの「悲喜こもごも」を振りまき、金(ゴールド)相場に、上昇と下落、両方の圧力をかける可能性があります。これにより、金(ゴールド)相場は、これらの上下の圧力に挟まれ、現在の価格水準を維持しつつ、バランスが勝った方に推移(上昇圧力が下落圧力に勝れば上昇、下落圧力が上昇圧力に勝れば下落)する可能性があります。

この図からも、トランプ2.0環境下において、有事だけ、株との逆相関だけ、ドルとの逆相関だけ、で分析ができないことが分かります。これら過去の常識の一つ一つは、多数の中の一つ、つまり「点」です。これらにのみ注目をして行う分析は、前回述べたコンフォートゾーンでの分析であり、ラーニングゾーンでの分析が求められるトランプ2.0環境下にはなじみません。

図:トランプ2.0環境下における金(ゴールド)相場の環境(一例)
図:トランプ2.0環境下における金(ゴールド)相場の環境(一例)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。