[Vol.1849] 世界はトランプ氏にマウントされている

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.14ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,606.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は17,905元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年12月限は521.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1648.15ドル(前日比0.05ドル縮小)、円建てで8,242円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月12日 17時33分時点 6番限)
12,942円/g
白金 4,700円/g
ゴム 348.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,125円/mmBtu(25年2月限 11月11日17時51分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「世界はトランプ氏にマウントされている」
前回は、「全ての激戦区を制し『トランプ2.0』始動」として、トランプ2.0の影響(川上から川下まで)を確認しました。

今回は、「世界はトランプ氏にマウントされている」として、トランプ2.0環境下の「全体観(一例)」を確認します。

話題創出、機運向上、自国優先、交渉促進などが、トランプ2.0の全体観を示すキーワードだと言えるでしょう。そしてそれらは、いずれも明(喜)と暗(悲)を含んでいます。国内大手メディアは「トランプ2.0は悲喜こもごも」と述べました。まさにそのとおりです。

話題創出に関連するビッグマウス、誇張表現も、機運向上に関連する全体的な景気回復期待増、部分的な景気鈍化懸念増も、自国優先に関連する強い米国復活、一部の関連国疲弊も、交渉推進が関連する部分的な事態進展と別の混乱発生も、これから四年間、世界中の幅広い事象の川上に位置することになります。米国のリーダーがトランプ氏だからです。

こうした悲喜こもごもは、前回の図「トランプ2.0の影響(川上から川下まで)」のとおり、世界の平和、秩序、景気、民主主義や気候変動など、世界を覆う大きなテーマに影響を与えます。

そしてその影響が、各国の物価対策、和平交渉、環境対策、金融政策、貿易交渉などに及びます。さらにその影響が、各国の個別の事案である個別企業の株価、売上、そして物価や雇用などに及びます。

こうして考えると、まるで世界はトランプ氏にマウントされているように見えます。単に川中や川下の事象に縦の線で影響を及ぼすだけでなく、悲喜こもごも故、明の事象だけでなくその奥の暗の事象まで、横の線で影響を及ぼす点がトランプ2.0の特徴です。

図:トランプ2.0環境下の「全体観(一例)」

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。