小次郎講師の移動平均線大循環分析徹底解説、「チャート分析とは?」

1、投資の正しい考え方

□さあ、本日は私の集大成である「移動平均線大循環分析」の連載を始めるに当たって、チャート分析とは何かということから話していきたい。 ■そこからですか? □結論から言うが、チャート分析をいくら究めても将来のことはわからない。 ■わからないんですか。それが読めると思ってみんなこの連載を読んでいると思うのですが。 □それが読めるようになると思っているなら大間違い。ではなんのためにチャート分析があるかというと現状分析。 ■現状分析なら別にチャートを使わなくてもわかる気がしますが。 □そうかな?市場では買方と売方が日々戦っている。その戦いの記録がチャート。チャートを見ることによって始めて、今買方がどれくらい優勢とか、売方が劣勢から今盛り返し中とかいうことがわかる。 ■なるほど、買方売方の勢力の変化を正しく見抜くのがチャート分析なのですね。 □だから、チャートの達人は皆口をそろえてこう言う。「予想はよそう」と。 ■予想することは駄目なんですね。 □私の研究したタートルズも、また日本を代表する相場の達人一目山人氏も「予想はよそう」と言っている。洋の東西を問わず、時代を問わず、相場の達人達は安易に予想をすることを戒めている。予想することは百害あって一利なしとね。 ■そこまでですか。どうして予想が駄目なんですか? □先のことはわからない。何が起こるかわからない。状況は一瞬でがらっと変わる。これは相場をやっている人間にとっては当たり前のこと。予想するということはこの「状況は一瞬でがらっと変わる」という相場の神髄を無視している。 ■そう言われれば。 □人間というのは不思議なもんでね、「これから円安になる」という予想をしたとする。それを口に出したとたん、目に入る情報、耳に入る情報は円安になる話ばかり。それに逆行する話は右の耳から左の耳へと通りすぎ、頭に入らない。 ■それはわかります。で、どんどん凝り固まっていくんですね。 □今この時期に「今後株は大暴騰する」というアナリストと、「株の大暴落は近い」というアナリストがいる。為替だって、「間違いなくこれからも円安」と言っている人と、「円高に方向転換」と言っている人がいる。どちらも有名なアナリストだ。 ■つまり、どちらかは大嘘と。 □そこで当たった人も次の瞬間には外れる。 ■ということはみんな大嘘つき。 □そういうことを言っているんじゃなくて、予想することの危うさを言っている。ファンダメンタルズを分析することは大変意味のあること。それを駄目だと言っているわけではないから誤解のないように。分析した結果、「これから先間違いなく円安だ」と思い込んでしまうことを戒めている。 ■「アベノミクスなんだから、国策なんだから、株は上がるに決まっている」という人がいましたね。 □「年金が買い支えているんだから下がることはない」とかね。 ■「日銀が異次元緩和をしているんだから、為替は円安、株は上昇、これで決まり」みたいな。 □そんな簡単なものだったら、損する人はいない。どんなにいい環境でも下がるときには下がる。そのことを謙虚に受け止めなくてはいけない。