[Vol.1188] 湾岸戦争とイラク戦争前後の値動き

著者:吉田 哲
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原油反発。ウクライナ情勢の悪化などで。114.66ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,930.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。22年05月限は14,045元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。22年04月限は719.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで842.6ドル(前日比5.4ドル縮小)、円建てで3,199円(前日比86円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月3日 大引け時点 6番限)
7,148円/g 白金 3,949円/g
ゴム 260.0円/kg とうもろこし 45,320円/t

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「湾岸戦争とイラク戦争前後の値動き」

前回は、「第四次中東戦争とイラン・イラク戦争前後の値動き」として、過去の2つの戦争が「勃発」した前後1年間の、金と(ゴールド)と原油の価格推移を確認しました。

今回は、「湾岸戦争とイラク戦争前後の値動き」として、前回触れた2つの戦争の後に発生した、湾岸戦争とイラク戦争のケースを確認します。

以下は、湾岸戦争が勃発した日(1991年1月。多国籍軍がハイテク兵器でイラクを攻撃した日)の前後合わせて1年間の、金(ゴールド)と原油の価格推移です。

1990年8月のイラクのクウェート侵攻(湾岸戦争のきっかけ)の「予兆」のタイミングで、金も原油も大きく上昇しましたが、侵攻後に下落しはじめました。その後、湾岸戦争の「勃発」を機に、金(ゴールド)は下落に拍車がかかり、原油は下落基調を維持しました。

また、イラク戦争が勃発した日(2003年3月。米国主体の軍がイラクへの攻撃を開始した日)の前後1年間の、金(ゴールド)と原油の価格推移については、「予兆」の段階で、ともに上昇しましたが、「勃発」時には下落していました。

下落後、金(ゴールド)は別の要因(この場合は金の現物を裏付けとしたETF[上場投資信託]の売買が本格化したこと)が目立つようになり、上値を追う展開になりました。

図:湾岸戦争勃発前後の金(ゴールド)と原油相場の推移

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。