日経225マイクロ先物およびミニオプション取引は、2023年5月の上場から1年を迎えます。 既にある『ラージ』『ミニ』に加えて今回『マイクロ』が加わったことで、投資家のリスク供用度に合わせて、広く活用されるようになり、順調に取引高を伸ばしています。 中でもマイクロ先物は、昨今(2023-2024年)の日経平均株価の高値更新などの影響もあり、短期間で主力商品の一つとなっています。 個人投資家からも以下の意見が寄せられている注目商品ですので、改めてチェックしておきましょう。
ハイレバレッジで大きな利益が狙える「先物取引」や「オプション取引」ですが、「必要資金の多さ」が大きなネックになっていました。
必要資金の多さが理由で先物取引やオプション取引を諦めていた人も一定数いるのではないでしょうか。
例えば、日経225先物を取引しようとした場合、必要資金は以下のように100万円単位になってしまいます。
日経225先物の1/10サイズの日経225miniであっても、以下の金額が必要です。
この例はあくまで最低限必要な金額なので、レバレッジを少し抑えたい場合、さらに大きな金額が証拠金として必要になってしまいます。
実際、投資家の投資資金データを見てみると3割以上が「100万円未満」の資金量で投資をしています。
(参考:日本証券業協会)
また、投資金額は100万円〜の投資家からすれば、「やってみたいけど、今の資金量じゃ無理だな…」と諦めてしまうのも頷けます。
とはいえ、先物取引は馴染み深い株価指数「日経平均」を投資対象に「大きな利益」が狙えるのは依然として魅力的。
そこで、登場したのが今回のメインテーマ「日経225マイクロ先物/日経225ミニオプション」です。
日経225マイクロ先物/ミニオプションとはどのような商品なのか。簡単にまとめると、以下の特徴があります。
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日経225先物 |
日経225マイクロ先物 |
取引単位 |
日経平均の1000倍 |
日経平均の10倍 |
取引金額 |
3,991万円 |
399.1万円 |
必要証拠金 |
199.5万円 |
19.9万円 |
レバレッジ |
約20倍 |
約20倍 |
呼値の単位
(値段の刻み) |
10円 |
5円 |
- 日経平均株価を39,910円と仮定し、2024年3月時点の情報を採用しています
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日経225オプション |
日経225ミニオプション |
取引単位 |
オプション価格の1000倍 |
オプション価格の100倍 |
必要資金
(買いの場合) |
数千円~数十万円 |
数百円~数万円 |
必要証拠金 |
売りの場合は必要
買いの場合は不要 |
売りの場合は必要
(日経225オプションの1/10)
買いの場合は不要 |
呼値の単位
(値段の刻み) |
呼値の水準が100円以下=1円
呼値の水準が100円超=5円 |
呼値の水準が100円以下=1円
呼値の水準が100円超=5円 |
必要資金量が従来の「100分の1(ミニオプションは10分の1)」に抑えられるため、今まで「資金が足りなくて諦めていた投資家」も取引可能になります。
さらに、投資資金が抑えられるということは「レバレッジの調整」もしやすくなります。
それでは、日経225マイクロ先物、日経225ミニオプションの注目ポイントをそれぞれ解説します。
<日経225ミニオプションから見たい人はこちら>
日経225マイクロ先物の注目点【特徴・メリット・デメリット】
日経225マイクロ先物の注目点はやはり「投資必要資金がスリム化した点」です。
日経225先物と比較し、必要資金は100分の1、約100万円単位から約1万円単位になりました。
株式を単元(100株)で買うのとそう変わらない、むしろ安いくらいの金額設定になったことで投資しやすさは「格段に増した」といえますね。
日経225マイクロ先物のメリット |
日経225マイクロ先物のデメリット |
少額での取引が可能になり、より多くの人が参入しやすくなった
レバレッジの調整が簡単になった |
レバレッジが効いている分、株式よりも細かなリスク管理が必要。 |
みんかぶ担当
「取引に必要な資金額が少ない分、レバレッジ調整もしやすくなりますし、投資ポートフォリオの組みやすさも上がりそうですね。」
JPX担当者様
「そうですね。より幅広い投資戦略の中で使っていただけると思います。例えば、個別株投資で損失が生まれそうなケースでも、先物取引で売りポジションを持っておくことで、リスクヘッジに繋げることができます。
より具体的に解説してみましょう。個別株の場合、日経平均が下がると所有している株式の時価総額が下がり、損失が生まれてしまいますよね。
そのような事態を予測できたタイミングで、あらかじめ先物で売りポジションを保有しておけば、日経平均が下がったタイミングでより安い価格で買い戻すことができ、差額分の利益が発生します。結果的に、個別株の損失をカバーすることができますね。
日経平均が下落したケース
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下落前
日経平均30,000円 |
下落後
日経平均27,000円 |
トータル損益結果 |
30万円分の現物株(※) |
300,000円 |
279,000円 |
-21,000円 |
日経225マイクロ先物 |
30,000円で売却 |
27,000円で買い戻す |
+30,000円 |
- 現物株と日経平均の連動性を示すβ=0.7とした場合。
日経225マイクロ先物なら一万円強の少額から投資できる分、以前より資金ハードルが低くなり、柔軟に活用しやすくなります。一方で、先物取引ならではのデメリットはあるので、資金管理の方法や取引ルールを決めた上で取引していただく必要があるでしょう。」
日経225ミニオプションの注目点【特徴・メリット・デメリット】
オプション取引は買いであれば証拠金は不要で、あらかじめ「最大損失を限定できる」のも魅力の一つです。
今回上場する日経225ミニオプションでは、日経225オプション取引と比較して「10分の1」の資金量で取引が可能。
必要資金が減ったことで、「日経225マイクロ先物と組み合わせた投資戦略」も立てやすくなりました。
日経225ミニオプションのメリット |
日経225ミニオプションのデメリット |
より柔軟な投資戦略が立てられる
株式取引のリスクヘッジとして活用しやすい |
資金管理や取引ルールを定める必要がある |
みんかぶ担当
「必要資金が少ない分、オプション取引の活用方法がさらに多様化しそうですね。」
JPX担当者様
「リスクヘッジやポートフォリオの充実など、オプション取引が持つ独自の強みをさらに活かせるようになるのではと考えています。もともとオプション取引を活用している方々はもちろん、これまで手を出してこなかった投資家さんにとっても嬉しいポイントではないでしょうか。
日経225ミニオプションを詳しく知る(※北浜投資塾のページへ遷移します)
日経225マイクロ先物、日経225ミニオプションともに従来の先物取引やオプションと比べて「必要資金が大幅に少なくなった」ことは理解いただけたと思います。
そうなると気になるのが、その分利益も小さくなってしまうのかどうかですよね。そこで本章では、マイクロ先物と先物取引の想定利益・損失をシミュレーションしていきたいと思います。
結果が先に気になる人は以下表を確認しましょう。
シミュレーション結果【まとめ】
【前提】
- 予想と逆に価格が動いた場合:マイナス
- 予想通りに動いた場合:プラス
- それぞれ1枚買った場合
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-1000円 |
-500円 |
-100円 |
0円 |
100円 |
500円 |
1000円 |
日経225先物 |
-100万円 |
-50万円 |
-10万円 |
0円 |
+10万円 |
+50万円 |
+100万円 |
日経225mini |
-10万円 |
-5万円 |
-1万円 |
0円 |
+1万円 |
+5万円 |
+10万円 |
日経225
マイクロ先物 |
-1万円 |
-5,000円 |
-1,000円 |
0円 |
+1,000円 |
+5,000円 |
+1万円 |
- 今回は簡単に損益イメージを掴んでもらうために「手数料・税金」は加味しておりません
日経225マイクロ先物の想定利益・損失シミュレーション
取引単位
日経225マイクロ先物は、日経平均価格の10倍が取引単位になります。日経平均が3万円なら「30万円分」が取引単位です
損益変動の大きさ
また、10倍の取引単位になっているため「日経225マイクロ先物価格が5円動けば50円分の損益変動」になりますね。
必要資金の目安
マイクロ先物を含め「先物取引のレバレッジ目安」は約20倍なので、必要投資資金は1.5万円以上が必要です。
この前提を踏まえて、損益のシミュレーションをすると以下のような結果になります。
【条件】
- 5円変動するごとに約50円の損益が生まれる(1枚あたり)
- レバレッジは約20倍を想定
- 日経日平均株価が30,000円
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100円
予想通りに動いた場合 |
500円
予想通りに動いた場合 |
1,000円
予想通りに動いた場合 |
1枚
(取引数量) |
¥1,000 |
¥5,000 |
¥10,000 |
3枚 |
¥3,000 |
¥15,000 |
¥30,000 |
5枚 |
¥5,000 |
¥25,000 |
¥50,000 |
10枚 |
¥10,000 |
¥50,000 |
¥100,000 |
マイクロ先物がおすすめな人とそうではない人について、下記の表にまとめました。
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おすすめな人 |
おすすめではない人 |
リスク志向 |
リスクはある程度許容しつつ、ミドル〜ハイリターンを狙いたい人
現物株のリスクヘッジとして活用したいと考えている人(相場下落時) |
リスクをなるべく抑えて、安定利益を狙いたい人
空売りなど利益・損失が限定的でない取引はしたくない人 |
投資に使う金額感 |
30万円以上のある程度まとまった資金でチャレンジしたい人 |
単元未満株や投資信託など数百円〜数千円から投資を始めたい人 |
取引スタイル |
上昇・下落相場両方で利益を狙いたい。
リスクヘッジのために空売りも活用したい
信用取引の利用経験がある |
コツコツ長期投資で利益を増やしたい |
取引スパン |
短期〜中期 |
長期 |
まとめると
- ある程度のリスクは割り切ることができる
- 少ない資金量で取引したい
- 相場に合わせた柔軟な取引がしたい、リスクヘッジとして活用したい
- 短期から中期で取引したい
上記に当てはまる人は、マイクロ先物での取引がおすすめです。逆に当てはまらない人はETFのようなインデックス投資を検討してみましょう。
あまり先物取引やオプション取引に慣れていない方向けに、ここからは取引の「基礎」についてご紹介します。
まずは、先物/オプション取引の始め方についてです。
マイクロ先物/ミニオプションの始め方
通常の先物取引やオプション取引と同様に、口座開設からスタートします。
- 口座を開設する
- 必要証拠金を口座に追加
- 取引したい商品を選び、注文する
- 満期日までに反対売買しない場合は、満期日に決済され取引が完了
口座開設の申し込みから必要書類の送付、審査を経て、口座を開設することができます。開設後は必要証拠金を口座に追加し、取引を開始することができるようになります。また、すでに証券口座をお持ちの場合は、そのまま同じ口座情報で取引可能なことが多いです。
限月に注意する
先物/オプション取引をする上で重要なのが「限月」です。限月とは、最終決済が行われる月を指します。
取引種類 |
限月 |
日経225オプション取引
(日経225ミニオプション) |
毎月(毎週) |
日経225先物取引
(日経225mini、日経225マイクロ) |
3月・6月・9月・12月(毎月) |
例えば、2023年5月半ばに日経225先物取引をスタートさせた場合、直近限月は2023年6月限(ろくがつぎり)、第2限月は9月限(くがつぎり)となります。
限月は取引する商品やタイミングによって異なります。限月を見据えた取引をしないと、思わぬタイミングでの決済となり、予想外の損失が発生してしまうかもしれません。期間を意識した上で、市場を予測し取引する必要があります。
<限月とは>
株価の変動に応じた取引を
先物やオプション取引においては、株価の変動を予測した上での注文が必要になります。過去のチャートの動き方のような様々な情報をもとに、市場の変化を予想してみましょう。
- 対象指数が上がりそう→先物買い注文
- 対象指数が短期間に上がりそう→先物買い注文 or オプション(コール)買い注文
- 対象指数が下がりそう→先物売り注文
- 対象指数が短期間に下がりそう→先物売り注文 or オプション(プット)買い注文
のように、株価の変動に合わせて取引の仕方を考えていくのが、取引をマスターするコツです。
次に、取引を通じて実際に稼ぐ方法についてご紹介します。
マイクロ先物取引やミニオプションで稼ぐために必要なのは、「正確な市場分析」と「リスク管理能力」です。
上級者トレーダーが活用している市場分析の指標としては、次のようなものが挙げられます。
- 移動平均線:一定期間内における株価の終値の平均を線で結んだグラフ
- ボリンジャーバンド:移動平均線に加え、上下の値動きの幅(標準偏差)を加えたグラフ
- RSI:現在の相場が「過買い状態」か「過売り状態か」を示す指標。過買い状態の場合、株価の下落が予想される。
- 経済指標:GDP、雇用統計、インフレ率など、市場に大きな影響を与える要素
- その他の情報:企業の業績、政治、国際情勢など、市場に何かしら影響が及ぶと考えられるトピックス
さらに、取引ルールを定める、バランスの良いポートフォリオを構築するといった「リスク管理能力」も重要です。
マイクロ先物取引やミニオプションでの稼ぎ方については、別のコンテンツで詳しく解説していきます。
VaR(Value at Risk)方式とは?
VaR(Value at Risk)方式
Value at Risk方式の略であり、特定のポジションを一定期間保有すると仮定した場合において、将来の価格変動により一定の確率の範囲内で予想される損失をカバーする額(想定損失相当額)を計算する方法です。限月ごと、売り買いごとに計算(1円単位)、毎営業日見直しが行われ即日適用されるため、リスク管理の高度化が図られます。
※株価指数市場と商品市場で一部異なります。
2023年11月にSPAN方式からVaR方式に変更(新旧対比)
VaR方式の種類
VaR方式にはヒストリカル・シミュレーション方式(HS-VaR方式)と代替的方式(AS-VaR方式)の2つの方式があります。
まとめ
今回は、2023年5月から新たに上場する「日経225マイクロ先物/ミニオプション」についてご紹介しました。必要資金額が低くなることで、より柔軟に、より戦略的な投資方法として活用することが期待できます。
これまでと比較しレバレッジが格段に調整しやすくなったため、リスクヘッジをしつつバランスのとれたポートフォリオ構築をしていきたい方は要チェックです。
投資方法としてこれまで候補に挙げてこなかった方も、今回の上場をきっかけに、ご自身の取引方法を見直してみてはいかがでしょうか。
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