昨日のFOMCに続いて、今回は14日に結果が発表されるECB理事会です。 ECBの金融政策のうち、量的緩和については、現行規模で少なくとも9月末まで継続することが決定しており、結果自体に波乱要素はありません。 (金利の変更は量的緩和終了後一定期間をおいてとありますので、こちらも波乱要素はありません) 市場が注目しているのは、9月末という目先の期限の後について。量的緩和がいつ頃どのような形で終了に向かうのか、そのガイダンスを今回示してくるのかどうかというところ。 ECBの量的緩和については、以前は10月以降に徐々に規模を減らして(テ―パリング)、年末に量的緩和を終了するという見通しが大勢を占めていました。 しかし、今年に入ってユーロ圏の経済指標が冴えず、金融政策に大きな影響を与える物価も上がってこないという状況に。 ユーロ圏最大の経済圏であり、全体を引っ張るドイツも、Ifo景況感指数の鈍化が顕著で先行き不安が広がる状況。通商問題への懸念が広がることで、対米輸出への懸念なども強まっています。 イタリアで誕生したポピュリズム的な新政権への警戒感などもあり、先行きの不透明感がかなり強まりました。 その為、量的緩和の終了をもう少し先送りしてくるか、少なくとも今後についての発表を遅らせて、状況を確認するのではとの見通しが広がりました。 しかし、先週に入ってFRB要人から強気発言が相次ぎました。 ベルリンで行われたイベントに参加したブラートECB専務理事は、物価動向についてインフレターゲットに向かうとの自信を示したほか、今週の会合で終了について予断無く議論すると、終了に向けた動きを印象付けました。 同じイベントにビデオ参加したバイトマン独連銀総裁は、年末までで量的緩和が終わるという市場の見通しは妥当と、さらに踏み込んだ発言を行いました。 また、同じ日にオランダのハーグで行われたイベントに参加したクノット・オランダ中銀総裁は、量的緩和の終了を早期に発表することは合理的と、今回の会合での量的緩和の終了見込みを示す可能性を示唆しています。 こうした状況が今回の会合への期待感を誘っています。 バイトマン独連銀総裁、クノット蘭連銀総裁はECB内タカ派の代表格ともいえる存在だけに、強気発言も納得というところではありますが、ブラート専務理事はECBのチーフエコノミストでもあり 経済・金融政策立案の重要なキーパーソンだけに 市場の期待が広がっています。 とはいえ、ドラギ総裁が基本的に慎重であることはよく知られたこと。また、先に挙げたように現状では不透明要素が残っていることもあり、議論自体は行われても、テ―パリング示唆などのガイダンスの変化は見られない可能性もあります。 見通しが一致しない分、声明などの内容次第でかなり大きく相場が振れる可能性がありますので、要注意といったところです。 minkabu PRESS編集部 山岡和雅
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