【来週の注目材料】先週の僅差での据え置き決定を受けて英中銀メンバー発言と英指標に注目 米連邦政府機関閉鎖が続く中、多くの米指標発表予定が延期されており、材料不足感が広がっています。 閉鎖が解除されたとしても、データの収集、分析に時間がかかる(指標によっては不可能となる)ことから、かなりの期間影響が出ることが予想されます。ちなみに35日間の閉鎖となった2018年12月から2019年1月の例でいうと、閉鎖期間中の2019年1月8日に発表予定のあった11月の米貿易収支は、1月22日の閉鎖解除後もすぐには出せず、本来12月分が出るタイミングであった2月上旬に発表、12月分は3月上旬に発表など、本来の発表日から後ろずれし、5月に発表された3月分になってようやく元のスケジュールに戻りました。閉鎖期間と被らなかった米四半期GDPは、10-12月期速報値が出るタイミングであった1月末に出せず、改定値の発表タイミングである2月末に速報値、改定値は発表されず3月末に確報値が出るという対応になりました(ちなみに2018年-2019年の時は労働省は閉鎖対象ではなかったので雇用統計や物価統計は普通に出ており、影響を受けたのは商務省などの担当指標だけでした)。 米国の材料不足が当面続く中、今週注目したいのが英国の状況です。先週木曜日の英中銀金融政策会合(MPC)で、大方の予想通り政策金利を据え置いた英中銀。ただ、その投票結果は5対4とまさに僅差となりました。9月会合時点で利下げを主張していたディングラ委員、テイラー委員の両超ハト派委員に加え、こちらもハト派で知られるラムスデン副総裁、さらに中立派のブリーデン副総裁が利下げに投票しました。ブリーデン副総裁は2023年の就任以降、これまですべての会合でベイリー総裁の意見に同調していました。副総裁としての担当は金融安定化であり、金融政策についてはタカハトどちらかの極端な姿勢を見せることを避けていた印象です。副総裁就任後17回目の会合で初めて総裁の意見に異を唱えて利下げ主張に回るほど、英経済が厳しいとの見方につながっており、今後の動向が注目されるところとなっています。 そうした中で、今週は11日に英雇用統計、13日に第3四半期GDPと9月の月次GDP、さらに9月の鉱工業生産と製造業生産高の発表が予定されています。 雇用統計は前回発表されたILO基準失業率6-8月平均が4.8%と予想外に5-7月の4.7%から悪化。英雇用市場の厳しい状況が示されました。今回の7-9月は4.9%にさらに悪化見通しとなっています。 第3四半期GDPは前期比+0.2%見込みと、2期連続で伸びが鈍化もプラス圏を維持する予想になっています。9月の月次GDPは前月比プラスマイナス変わらず見込み。7月が-0.1%、8月が+0.1%といまいち冴えない状況が続きます。 9月の鉱工業生産、製造業生産高はともに8月を下回り、前月比、前年比ともにマイナスの予想です。 失業率が連続での悪化、GDPの伸び鈍化、鉱工業生産などの弱い結果と、厳しい数字が並ぶ見込みで、予想通り、もしくはそれよりも弱くでると、12月の英中銀金融政策会合での利下げ期待につながります。 さらに今週は10日にロンバルデッリ英中銀副総裁、11日にグリーン委員、12日にピル理事兼チーフエコノミストの講演が予定されています。3名とも先週の会合ではベイリー総裁と同じ据え置きを主張しました。ピルチーフエコノミストは英中銀金融政策委員の中でもタカ派で知られている人物ですが、ロンバルデッリ副総裁とグリーン委員はややタカ派気味もそこまで偏ってはいないとの印象があるだけに、講演での姿勢が気になります。利下げに向けた姿勢がどちらかから出てくるようだと、前回の投票が5対4だけに、次回会合で利下げ派が多数になる可能性が一気に広がります。この場合はポンド売りとなりそうです。 今月26日の英政府の年次予算公表を前に、財政赤字懸念からポンド売りが出やすい地合いだけに、指標や中銀関係者発言に神経質に反応してくる可能性がある点にも要注意です。先週のポンド安局面では1ポンド=1.3010ドルまでと何とか維持した1.3000の大台ですが、今週大台を割り込む可能性がそれなりに高くなっています。 MINKABUPRESS 山岡
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