NY時間の終盤になってドル円は113円ちょうど付近で推移。きょうのNY為替市場は全体的にドル売りが一服している。米株が小売り大手の好決算を受けて大幅反発しており、米国債利回りも上昇。ただ、米税制改革への不透明感やインフレ鈍化への懸念は根強くドルはまだ上値が重い印象だ。 午後になって米下院が税制改革法案を可決したが、特に為替市場の反応は限定的。今後、法案は上院に渡り審議が行われるが、上院共和党も下院とは違った独自案を提出しており、ここからが本番といったところだ。下院案と上院案の違いをどのように埋まるのかが今後の焦点だが、同時に年内に法案を可決できるかも注目となる。 ドル円はロンドン時間に113円台を回復したものの、NY時間に入って戻り売りに押される展開となった。米国債利回りも上昇し、米株も大幅反発する中、外部環境は追い風のはずだが、113円台は依然として重い。ここ数日の下げでロング勢もモメンタムを後退させ上値に慎重になっている様子もうかがえる。目先の下値サポートは前日安値の112.50付近が意識。 一方、きょうのユーロドルは調整の動きを見せており、1.1760近辺まで下落。前日は一時1.1850近辺まで上昇するなど今週に入って200ポイント急上昇しており、さすがに利益確定売りも出ているようだ。ドイツ国債と米国債の利回り格差からすれば行き過ぎとの声もあるようだが、下値では押し目買い意欲も強そうだ。 米税制改革への不透明感もある中、ドルは買いづらい。一方でポンドもメイ政権やEU離脱交渉への不安感が根強い。円はゼロ金利が邪魔をする。今週発表されたユーロ圏やドイツのGDPからユーロ圏の景気回復への期待が強まっており、ユーロが最適として資金が流れ込んでいるものと思われる。目先の下値サポートとしては100日線が1.1740付近に来ており、1.1730付近にはまとまった買いも観測されている。 ポンドドルは1.31台後半での振幅が継続。きょうはドル売り一服もポンドドルは堅調な値動きを見せている。ユーロが利益確定売りに押されており、対ユーロでの買い戻しがポンドをサポートしている模様。ただし、上値は変わらず重い印象で、1.32台に何度か上昇するものの上値を抑えられている状況。 なお、インフレの主要指標として、現行の消費者物価指数(CPI)に代えて、住宅関連コストを含むCPIHを採用すべきだとの声が出ている。英中銀のインフレ目標にも影響するが、ハモンド英財務相はインフレ目標のCPIHへの移行には現段階では否定的な見解を示していた。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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