【これからの見通し】複合的な材料でドル安が進行、きょうは米予算教書 足元のドル相場の流れは大きくドル安方向へと傾いている。ただ、米国発のドル安材料だけでははなく、特にユーロ高の面が強調されているだけに複雑さがある。米債利回りは低下しており、ドル安の一因となっているが、それだけでは説明できない勢いがある。ユーロドルは相場の大きな節目である1.10台を上抜けたことが上方向への流れを強めた。加えてECBの出口戦略への思惑や昨日はメルケル独首相のユーロ安けん制発言まで飛び出した。 資源国通貨でもドル安が進行している。原油高がカナダドルや豪ドル買いの材料とみられるほか、NZドルにとっては強気の予算が組まれるとの観測が好感されているもよう。 一方、ポンドにとっては、昨日報じられたマンチェスターでの爆発事件が影を落としている。メイ英首相は選挙運動を中止することを表明している。きょう日本時間午後5時から安全保障会議を開く予定。 やや米国発の材料が弱い印象を受けるなかで、きょうは米予算教書が提出される。昨日から詳細報道が流れており、国防費、メキシコ国境の壁、大型減税の増額のために医療などその他の分野での歳出が抑制される見通しとなっている。トランプ期待相場への期待が薄れるようだと、米国発のドル安材料となるリスクもあり注意しておきたい。ドル指数はすでに昨年の米大統領選直後の水準まで低下している。 その他の材料としては、経済指標はドイツとユーロ圏の製造業および非製造業PMI・速報値(5月)、ドイツIfo景況感指数(5月)、英公共部門ネット負債(4月)、カナダ卸売売上高(3月)、米新築住宅販売件数(4月)などの発表が予定されている。米2年債入札(260億ドル)が実施される。金融当局者発言は、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されている。 みんかぶ「KlugFX」 松木秀明
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。