ドル売り優勢も原油高や株高でドル円は底堅い=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となったもののドル円は底堅く推移した。朝方発表になったNY連銀景気指数が予想外のマイナスだったことで、一時113円台前半に値を落とす場面が見られたが、113円を割れを試すことなく戻す展開となっている。商品市場で原油の買い戻しが強まっており、それに伴う米株高や米国債利回り上昇がドル円をサポートした。

 ただ、為替市場では欧州通貨が買われており、相対的にドル売りの流れではあった。先週末の消費者物価や小売売上高の結果を受けて、市場では6月利上げ期待がやや後退している。CMEのFEDウォッチでは6月利上げの確率が70%台に低下している。

 ここにきてECBの出口戦略への期待も高まっており、欧米とも金融政策の正常化への期待が高まっている。FRBとECBのスピード感や、それに対する為替市場の織り込み具合は様々見方があると思われるが、少なくとも日銀については当面、出口戦略への変更は無いということは確実に言えそうな状況。地政リスクや政治リスク、そして、トランプ政権からのけん制が無ければ、いずれにしろ円安という判断なのかもしれない。

 一方、ユーロの見直し買いが続いており、ユーロドルは1.09台後半まで上昇し、ユーロ円も124円台後半に上昇した。ドル高の動きが一服しており、その矛先がユーロに向かっているようだ。投機筋の買戻しも顕著に見られ、先週末に米商品先物取引協会(CFTC)が公表したIMM投機筋の建玉報告によると、ユーロのネットポジションは買い越しに転じている。一旦売り買いどちらかにネットポジションが変化すると、しばらく続く傾向にはある。

 ECBの出口戦略への期待が高まっていることや、仏大統領選でマクロン新大統領が誕生したことで、政治リスクも一服しているようだ。また、秋にはドイツの総選挙が実施されるが、日曜日に実施されたドイツのノルトライン・ウェストファーレン州議会選挙で、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が予想外の大差で勝利したこともユーロ買いをサポートしている模様。秋の総選挙で4選を目指すメルケル首相に弾みをつけた格好となった。

 ユーロドルの目先のターゲットは何といっても心理的節目の1.10台回復だが、その付近の売りも圧く控えている模様。昨年5月高値から今年1月安値のフィボナッチ50%戻しの水準が現在の1.09台後半にあり、1.10台を回復できれば、61.8%戻しの1.11台前半も視野に入る展開ではある。

 ポンドも堅調な展開を見せたっものの、ポンドよりもユーロに資金が流れており、ユーロに比べれば上値が重い印象。

 先週の英中銀政策委員会(MPC)では利上げ、利下げ双方に可能性を残し、カーニー総裁は慎重姿勢を堅持していた。市場が期待していたほどに英中銀は、利上げバイアスには傾いていない印象もうかがえた。

 ただ、ポンドドルは先週からの動きで21日線はしっかりと維持されており、いまのところ上向きの流れは堅持しているようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
 

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