きょうのNY為替市場でドル円は110円台前半での上下動が続いている。米株や米国債利回りが底堅い推移となっていることもあり、一時110.40円近辺まで上昇する場面もみられた。上値には慎重さが見られるものの、110円台はしっかりと維持されており、次の展開待ちといった印象だ。 その意味では、今週14日と15日のパウエルFRB議長の半期に1度の議会証言は目先の注目材料となろう。ただ市場からは、短期的にドル高の流れを一服させる材料になる可能性も指摘されている。直近のインフレ期待は、市場ベースの数値よりも低く修正されており、FRBに幾分余裕をもたせたと指摘している。デルタ株の継続的な拡大と、より複雑化した世界的な景気回復の可能性と組み合わせると、パウエル議長の口調がそれほど明るくはない可能性は高いという。 ただし、その後に世界経済への懸念がさらに強まるようなら、リスク回避のドル買いを呼び込み、動きは一時的になる可能性も留意されるとしている。 ユーロドルはロンドン時間にやや戻り売りが優勢となり、1.1840ドル近辺に伸び悩んだものの、NY時間に入ってやや買い戻されている。下げは一服しているものの、上値には依然として慎重な雰囲気が強い。本日の21日線が1.1910ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。 ECBは先日発表した戦略見直しで、インフレ目標に上下に幅を持たせるシメントリックな2%の中期インフレ目標に変更した。ただ、この戦略変更はタカ派とハト派の間を取り持った妥協に見える。ECBの政策は短期から中期的に緩和的過ぎるくらい緩和的になることを示唆しているが、いずれ緩和策を巻き戻すうえでの柔軟性という点では曖昧だという。ECBは、FRBのように柔軟な平均インフレ目標というメイクアップ戦略を正式に採用するには至らなかった。これは、短期から中期的には、FRBはECBよりも、基本的に幾分ハト派的であり続ける可能性を含むという。 ※メイクアップ戦略 インフレ率が誘導目標を超えた後も、誘導目標を下回っていた分だけ目標を超過し続けることを容認する戦略。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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