米CPIの数字の割に反応は鈍い印象=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って買いが優勢となっており、110.35円付近での推移となっている。この日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)は総合指数が前年比5.4%、エネルギー・食品を除いたコア指数は4.5%と予想を大きく上回る内容となった。発表後に米国債利回りが上昇し、為替市場ではドル買いが強まりドル円は110.55円付近まで上昇した。本日の21日線は110.60円付近に来ているが、その水準にはなお慎重なようだ。

 米CPIの数字の割に反応は鈍い印象。市場からは今後ベース効果が沈静化し、中古車やトラック価格上昇も緩和されることから、夏にかけてインフレの伸びは鈍化し、秋にはさらに急速に鈍化する可能性があるとの声も複数聞かれる。一方、現在の需給不均衡が徐々に解消されるまでは上昇自体は続くとも指摘。今回の数字は上向きのインフレ・スパイラルの始まりではないというFRBの見解を共有するが、2022年までインフレは2%上回る水準が続くことが予想されるという。

 今回のCPIの数字をFRBは好まないだろうが、パンデミックの影響であることは明白であり、パウエルFRB議長のほか、他の多くのFOMCメンバーはインフレ上昇は一時的と主張し続けることが予想されるとしている。 

 ユーロドルは上値の重い展開が続いており、1.18ドル台前半での推移。この日発表の米CPIが予想以上に強い内容となったことで、ドル買いが強まり、ユーロドルは1.17ドル台に下落する場面がみられた。しかし、ドル買いの勢いは続かず、いまのところ1.18ドル台は維持されている。しかし、下値警戒感は依然として強い印象で、目先は1.18ドル台を維持できるか注目される。

 ユーロドルは今後数四半期で1.10ー1.15ドルの範囲まで下落する可能性も指摘されている。ECBとFRBとの金融政策格差を理由に挙げており、FRBの金融引き締めの可能性が高いためだという。FRBの利上げの可能性が近づくにつれて、下限に向かって行くという。FOMCメンバーの利上げ予想の中央値は2023年に2回の利上げの一方、ECBの引き上げ開始は2024年まで想定されておらず、これがユーロドルを圧迫し続けるはずだと説明している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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