S&P500 月例レポート ― マネーの動きを追え! 高値更新を重ねた10月 (3) ―

配信元:株探
著者:Kabutan
●バイデン大統領と政府高官

 ○議会は2021年12月3日までの債務上限の一時的な引き上げと、同日を期限とするつなぎ予算を可決しました。これにより土壇場での交渉が再び行われ、ボラティリティが上昇することはほぼ確実です。

 ○バイデン大統領と中国の習近平国家主席は、年内にオンライン形式での米中首脳会談を開催することで合意しました。最重要議題は貿易と競争、続いて政治問題が主な議題になるとみられます。

 ○バイデン大統領の要請を受け、米国内で最大規模を誇るロサンゼルス港は、貨物のボトルネック(とそれによる国内の供給問題)を解消するため、無休(24時間・週7日)の稼働を開始しました。

 ○米国の2021会計年度(9月末まで)の財政赤字は2.9兆ドルとなり、過去最大となった2020年度の3.1兆ドルに次いで過去2番目の赤字幅となりました。最後に財政黒字を記録したのは2001年度で、1270億ドルの黒字でした。

 ○バイデン大統領は3.5兆ドル規模の法案を1.85兆ドルに修正しました。

●新型コロナウイルス関連

 ○医薬品大手のメルクは、新型コロナウイルスに対する経口治療薬について緊急使用許可を申請する意向を明らかにしました。

 ○医薬品大手のジョンソン・エンド・ジョンソンは米食品医薬品局(FDA)に対し、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種(追加接種)について承認申請しました。ファイザーは、5~11歳の子供を対象とした1回目のワクチン接種がFDAに承認されました。モデルナは、自社のワクチンで子供に有効性が確認されたとするデータを公表しました。

  ⇒中国では子供の感染者数が拡大し続けていることから、3歳以上の子供を対象としたワクチン接種を開始しました。

  ⇒FDAはファイザー製ワクチンの5~11歳の子供への接種を承認しました。残るは米疾病対策センター(CDC)が子供へのワクチン接種を推奨するかどうか判断するのを待つだけとなり、CDCは来週にも協議する予定です。

 ○米国では3種類の主要ワクチン(ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モデルナ)でブースター接種が承認され、さらにブースター接種では異なる種類のワクチンを接種することも認められました。

 ○メルボルンでは、ワクチン接種が進んでいることを受けて、ロックダウンが解除される予定です。

 ○ロシアは新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、大半の労働者を対象に1週間の休業を命じました。

 ○英国では新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しており、デルタ変異株から派生した新たな変異株「デルタプラス」だと指摘する見方もあります。

 ○米政府が連邦政府の契約業者に2021年12月8日までのワクチン接種を義務付けたことを受け、ゼネラル・エレクトリックやユニオン・パシフィックなど、複数の米国企業が相次いで従業員のワクチン接種の義務化を表明しています。サウスウエスト・エアラインズは、パイロットの不足により2000便以上が欠航となったことを受け、ワクチンを接種していない従業員を出勤停止とする案を撤回しました。

 ○新型コロナウイルスの治療薬と治療法、そして夢の万能薬:

  ⇒世界全体で69億6000万人が少なくとも1回のワクチン接種を受けました(9月末時点では62億5000万人)。

   →米国では、現時点で4億1800万人が1回以上のワクチン接種を受けました(同3億9200万人)。

    ・人口の66.7%(同64.5%)が少なくとも1回は接種したことになり、人口の57.6%(同55.9%)が2回の接種を終えました。

   →米国の1日当たり接種回数の7日平均は109万回に増加しましたが(9月末は70万7000回、8月末は90万回)、ブースター接種が開始された影響と思われます。

●各国中央銀行の動き(および関連ニュース)

 ○国際通貨基金(IMF)は、サプライチェーンの混乱やパンデミックによる圧力を理由に世界経済の成長見通しを引き下げました。2021年の成長予測は世界全体が5.9%(7月予想は6.0%)に、先進国は5.2%(同5.6%)にそれぞれ引き下げられた一方で、新興国の成長予測は6.4%(同6.3%)に引き上げられました。2022年の世界全体の成長予測は4.9%に据え置かれました。

 ○米連邦準備制度理事会(FRB)は、直近の取引開示以降、当局者が個別証券を購入することを禁止する意向を表明しました。この問題をめぐっては、地区連銀総裁2名が上場銘柄の取引に関与していたことが明らかになり、辞任しました。

 ○2021年9月のFOMC議事録が公開され、インフレ懸念が高まる中、年内に景気対策の縮小を開始する可能性が示唆されました。

 ○ベージュブック(地区連銀経済報告)によると、経済成長が鈍化し、物価上昇や供給をめぐる問題が増大しています。

 ○FRBのパウエル議長はコメントを通じて、インフレや供給をめぐる問題への懸念が高まっていることを明らかにしました。

 ○カナダ中央銀行は予想外にも、量的緩和(QE)を終了し、バランスシートの再投資期間に移行することを決定し、さらに「従来の予想よりも早い段階で利上げを行う可能性がある」ことを示唆しました。

 ○ブラジル中央銀行は、政策金利を6会合連続で引き上げて6.25%から7.75%とし(2020年末時点では2.0%)、12月の会合でさらに利上げを行う可能性を示唆しました。

※「マネーの動きを追え! 高値更新を重ねた10月 (4)」へ続く

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