きょうのNY為替市場は午後のFOMCの結果待ちの雰囲気の中、前日の米消費者物価指数(CPI)の発表を受けたドル売りの流れが続いており、ドル円も134円台に下落している。 ロンドン時間に、日銀が4月の黒田総裁退任後の新体制の元で春闘や海外経済を踏まえ、政策を点検・検証する可能性があるといった報道が流れた。ドル円は売りが強まったが、緩和解除を拒んでいる日本の賃金に上昇期待が高まり、海外の高インフレが、落ち着くではあろうが、高水準のまま推移しそうであれば、日銀も緩和解除に動く可能性があるということなのかもしれない。至って普通の話ではあるが、ドル安の流れの中で敏感に反応していたようだ。 FRBはきょうのFOMCで0.50%ポイントに幅を縮小して利上げを行うと見られており、前日の米CPIの結果もそれを裏付けている。ただ市場からは、FRBは最近の市場の金融情勢の緩和期待に対して一石を投じる可能性があるとの指摘も出ている。今回はFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)も公表されるが、少なくとも来年の利下げを織り込むことはないとも見られているほか、市場の想定よりもターミナルレート(最終到達点)の見通しが高くなる可能性もあるという。 市場は前日の米CPIを受けて、ターミナルレート(最終到達点)の見通しを若干引き下げている。基本的には5.00%を挟んでの織り込みとなっており、4.75-5.00%か5.00-5.25%が予想の中心ではあるが、4.75-5.00%が若干優勢となっている。 パウエル議長も会見で、引き締めスタンスの長期化など、これまでのタカ派姿勢を堅持するとの見方も少なくなく、その場合はドルの買戻しを助長する可能性もあるという。 ユーロドルはリバウンド相場の流れを続けており、前日に回復した1.06ドル台を維持している。一時1.0660ドル近辺まで上昇。 市場は午後のFOMC待ちといった雰囲気だが、明日はECB理事会が予定されている。0.50%ポイントの利上げが見込まれているほか、ECBは追加利上げの可能性も示唆し、中立的な政策がすべての状況において適切ではない可能性があることを強調するとも予想されている。今回の利上げにより、政策は正常化から引き締めに軸足が移ることから、来年は通常の0.25%ポイント刻みで利上げを行うとの見方も出ている。 また、ECBはバランスシート縮小の主要原則も発表すると見られており、最も高い可能性としては、来年の第2四半期から資産購入プログラム(APP)の保有額を“消極的”に削減することだろうとの予想も出ている。 ポンドドルも買いが優勢となっており、1.24ドル台でリバウンド相場を継続している。ロンドン時間に発表になった11月の英消費者物価指数(CPI)は予想を下回った。ポンドの反応は限定的だったが、物価上昇圧力は恐らくピークに達していることが示唆されている。インフレの見通しは依然不透明だが、恐らくピークに達したとの見方が強まったことで、英中銀がこれまで以上に引き締めに踏み込んだ行動を取らざるを得ないリスクは低下しているとの指摘も出ている。 本日の英CPIが明日の英中銀の0.50%ポイント利上げに影響を与えることはないと見られている。しかし一部からは、追加利上げに対しては一定の壁になったとの声も聞かれる。英経済にリセッション(景気後退)の懸念が強まる中、英国に深刻なインフレ問題が残っているのか明確になるまで、しばらく英中銀は立ち止まることが恐らく理に適っているという。 英消費者物価指数(11月)16:00 結果 0.4% 予想 0.7% 前回 2.0%(前月比) 結果 10.7% 予想 10.9% 前回 11.1%(前年比) 結果 6.3% 予想 6.6% 前回 6.5%(コア・前年比) MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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