石油週間見通し=直近高値を抜けるか否か、延期のOPECプラス会合に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油は再び崩れる展開。1月限はさらに底割れすれば
70ドル台を維持できるか否かが焦点となろうとした。

【NY原油は直近高値を上抜けるか否かが焦点】
 ニューヨーク原油1月限は結局、16日の72.37ドルを安値として、20日には
78.46ドルまで急反発。22日にはいったん大きく下振れして73.79ドルまで
安値があったが、引けで77.10ドルまで戻した。本稿執筆時の24日午後には76
ドル台半ばで推移している。
 チャート的には、72.37ドルと73.79ドルでいびつなダブルボトムとなるの
かどうが注目されるが、26日に予定されていた石油輸出国機構(OPEC)プラス合
同閣僚委員会(JMMC)が30日に延期されたこともあり、11月最終週の前半は様
子見ムードが強まる可能性もある。差し当たり78.46ドルの直近高値を更新できる
かどうかが12月の相場レンジを決めることになりそうだ。

 材料的には、OPECプラス会合が30日に延期されたことで、生産調整が難航して
いることが観測されており、同発表での強気のインパクトが軽減するとの見方が多くな
っている。サウジアラビアの日量100万バレルの自主減産の2024年1〜3月期へ
の延長は確実視されているものの、アンゴラ、コンゴ、ナイジェリアなどのアフリカの
産油国が2024年の産油枠に難色を示してる模様。
 加えて後述するように、米国の原油在庫が5週連続で増加していたことにも圧迫され
た。ただヒーティングオイルを含む留出油在庫が低水準なことには注意したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに上昇して、3万5000ドル
台に乗せてきた。
 ドルインデックスは103ポイント台のもみ合いとなり、大勢では11月になって続
いている下落トレンドを抜け出せない展開。
 原油相場にとっては引き続き追い風と言える。

【米国の原油在庫、5週連続で増加=IEA】
 米国内に目を移すと、米エネルギー情報局(EIA)の週報で原油在庫が5週連続で
増加していた。とくに直近は前週比870万バレル増の4億4805万4000バレル
と、増加幅が大きくなった。水準的にも今年7月以来の高水準となった。この傾向がさ
らに続くのかどうか注目したい。
 留出油在庫は前週比101万8000バレル減の1億0556万バレルとなり、水準
的にも低くなっている。

【ロシアの原油売却価格、ほぼ全量が西側設定の価格上限を上回る】
 ロイター通信によると、ロシアのエネルギー省高官は、これまでの同国の原油売却価
格について、売却量の99%以上が西側諸国が制裁として設定した価格上限である60
ドルを大きく超えていると指摘した。
 また同国の開発対外経済銀行(VEB)によると、2023年の同国の石油輸出量は
2億4200万トン(日量484万バレル)と、2022年の2億4800万トンから
600万トン程度減少する見通し。また2024年は2億4100万トンとさらに減少
すると見込まれている。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油先限は下降中の21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(6
万8840円辺り)と−1シグマ(6万7100円辺り)の間のもみ合いが続いてい
る。
 ガソリン先限は名目値で7万9000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油1月限は16日の大陰線で72.16ドルまで急落。そこでボリン
ジャーバンドの−2シグマ(72.53ドル辺り)をタッチした後、大きく戻して20
日には−1シグマ(75.93ドル辺り)を上抜けた。その後22日はいったん下振れ
たものの、安値から大きく戻して、結局引けでは−1シグマを大きく上回った。


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