<金> NY金4月限は1月16日から17日にかけて大きく値を落とした後に切り返した が、その後は2060ドルが上値抵抗線として意識される頭重い足取りが続いてい る。 NY金は昨年末に今年の早い段階での利下げ観測が強まるなか上値を追う足取りを演 じていたが、1月に発表された米経済指標ではインフレ緩和傾向が示されながらも雇用 情勢にタイト感が残る様子が示されたうえ、個人消費も旺盛だったことが明らかになっ たため利下げ期待は大きく後退している。 CMEのFedウォッチによると3月時点で利下げを予測している比率は47.4% と過半数を割り込んでいる。昨年末には3月時点での利下げを見込む比率は87%台に 達していたため、利下げ期待は急激に後退しており、現在のNY金市場は利下げの時期 を予測するうえで生じたずれを修正するための調整が続いている状態と見られる。 とはいえ、今年、利下げが実施される可能性が消滅したわけではない。というのも、 高金利環境が継続することにより米政府の利払い支出が増加しこれが財政を圧迫してい るからだ。これまでにも予算案の成立が難航し、つなぎ予算を可決することで米政府機 関の閉鎖を免れる措置が取られてきたが、このような措置が今後も引き続き行われるよ うであれば、米政府に対する信認が低下し安全資産を求める動きが刺激されると見られ る。 また、米消費者物価指数(CPI)の鈍化傾向に加え、FRBが同様にインフレ率の 参照とする米個人消費支出(PCE)デフレータ—次第では上向く可能性がある点にも 注意しておきたい。 PCEデフレーターの前年同月比は、11月時点では+3.2%だったのに対し、 CPIは+4.0%だった。PCEデフレーターの場合、住居費が占める比率がCPI に比べると小さいため、住居費の高止まりによって下げ渋っているCPIに比べると 低下傾向を強める可能性がある。26日の発表でPCEが2%に近づく動きが強まるよ うであれば利下げ期待が再燃し、これがNY金市場を押し上げる可能性も出てくるだろ う。 利下げ期待が後退しながらも米財政悪化や地政学不安といった安全資産を求める動き にNY金は今後も支えられると見られるが、PCEデフレーターの内容次第では大きく 上含む可能性もある点を留意しておきたい。 <銀> NY銀3月限は今月22日にかけ軟化後、反発に転じ修正高となったが、2300セ ントを上抜くと売り直される頭重い足取りとなった。米利下げ観測が後退するなか、N Y金が上値を圧迫される展開となっていることに追随する動きとなっているが、安全資 産となる金に比べると上値は重い。 24日、25日と高値から大きく値を落とす足取りが続くなど上昇に対する抵抗をチ ャート面で見せていることもあり、2300セント台半ばを上値抵抗線とする安もみが 続くと予想される。 <白金> NY白金4月限は17日に883.2ドルまで値を落とした後は反発に転じたが、 920ドルが上値抵抗線になるなかもちあっている。 金は上値の重い足取りを演じているだけに上昇に転じるほどの手掛かりには乏しい状 況。白金の需給引き締まりが警戒されるなか下値は堅いながらも920ドルを突破して くるほどの手掛かりに欠けるため、890〜920ドルのレンジを中心の取引になると 予想する。 <パラジウム> NYパラジウム4月限は17日に904.5ドルまで値を落とした後は売り警戒感が 強まり修正高となっている。昨年12月22日から1月17日までおよそ3週間に渡っ て下値を探る足取りを演じたため、目先は修正のための買戻しが続くと予想される。 ただし、買いを刺激する独自の要因に乏しいだけに上げ余地は限られそう。 1000ドルの節目を目指すじり高歩調が想定される。 MINKABU PRESS
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