石油週間見通し=戻り高値更新なら一段高、中東情勢に新たな火種の可能性

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限は全値戻しの79.09ドルを達成。上値
目標は80ドルの節目、さらには1.618倍戻しの83.79ドル辺りまで上値余地
が拡大するとの見方は引き続き維持するが、一方で80ドル台に届かずにダブルトップ
を付ける可能性も引き続き残っているとした。

【NY原油は戻り高値更新も80ドル台に定着できず】
 ニューヨーク原油は4月限は戻り高値を更新して、瞬間的に80ドル台に乗せる場面
はあったものの、80ドル台に定着することはできず、高値もみ合いの様相が続いてい
る。本稿執筆時の8日午後には79ドル台半ばで推移している。
 これまでの高値は1日に付けた80.85ドルで、1月29日の高値79.09ドル
から2月5日の安値71.49ドルまでの下げ幅の1.236倍戻し(80.88ドル
辺り)をほぼ達成した後、再び80ドル台を割り込んでいる。仮にさらに戻り高値を更
新する展開が続くとすれば、一段高となり1.382倍戻しの81.99ドル、1.6
18倍戻しの83.79ドル辺りが次の上値目標となる。
 日柄的には10日(日曜で取引なし)が新月のため、仮にさらに上昇するにしてもそ
の近辺で押し目底を付けてからの上昇となるか。超目先的には8日の米雇用統計が注目
されそうだ。
 ただ可能性は低そうだが、1日の高値80.85ドル、6日の高値80.67ドルで
ダブルトップを付けるシナリオもまだ残っている。
 いずれにせよ、現在12月上旬の安値68.57ドルからの「三段上げ」の最終段階
にあるため、最終的な高値がどこまであるのかが3月中の焦点になりそうだ。

 なお3月10日から北米は夏時間が採用されるため、日本との時差が1時間縮小する
ため注意したい。

 材料的には、引き続き中東地域の地政学的リスクがメインテーマとなっている。ガザ
攻撃を巡るイスラエルとハマスの協議は進展なく終了した。ラマダン月間(3月10日
〜4月9日)入り後さらに協議が続けられるとの報道もあるが、現時点では停戦合意の
可能性はかなり低いものになっている。
 本稿執筆時にバイデン米大統領が一般教書演説を行っているが、船で人道支援物資を
輸送するためと称して、米軍がガザ地区沿岸に港を建設することも表明することが明ら
かになっており、新たな火種に発展する可能性もあるため要注意だ。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は3万8000ドル台後半を中心に引
き続き高値圏でのもみ合いとなっている。
 ドルインデックスは崩れる展開。先週の104ポイント台から直近は102ポイント
台後半まで急落している。

【カナダ〜米国のキーストーン・パイプラインが一時稼働停止】
 これも本稿執筆時に速報として、カナダ西部のオイルサンドからの重質原油を米国中
西部に運ぶキーストーン・パイプラインの稼働停止が報じられて、アジア時間帯の原油
先物の夜間取引の上昇につながった。
 運営企業であるTCエナジーが即座に設備に問題はないとしつつ、「予防的措置」と
しての一時的に稼働停止を強調しているが、続報があれば注意したい。

【米国の原油在庫は6週連続の増加=EIA週報】
 米国内に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報で、原油在庫が6
週連続で増加し、前週比136万7000バレル増の4億4853万バレルとなった。
ただ石油製品在庫の減少は続いており、ガソリンは同446万バレル減の2億3975
万、留出油が同413万1000バレル減の1億1701万バレルと、ともに400万
バレルを上回る急減となった。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である8月限はボリンジャーバンドの1シグマ(7万3000円辺
り)を上値抵抗とした反落も、8日は下ひげを付けて、引けで21日移動平均線でもあ
るボリンジャーバンドの中心線(7万1990円辺り)を上回った。
 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油4月限は80ドル台乗せは一時的で高値圏のもみ合いが続く。直近
は79ドルの節目に近いボリンジャーバンドの1シグマ(79.02ドル辺り)を挟ん
だもみ合い。

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