貴金属4品週間見通し=金は上げ修正の可能性高まるも利下げ観測で底堅い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金は3月1日に地合いを引き締めた後も騰勢が続き、3月4日には目先の上値目
標だった12月28日の2118ドルを突破。その後も上値を目指す足取りが続いて7
日には2172.2ドルまで浮上し高値を更新している。
 NY金急伸の背景は、米国の利下げ着手観測の高まりにある。昨年12月に2024
年の早期利下げ着手観測が浮上するなか、この材料を先取りする形で金価格が浮上し、
12月4日には2171.5ドルまで浮上した。その後は、米経済指標において雇用情
勢の底堅さや賃金の上昇傾向、そしてこれを受けた旺盛な個人消費が示されたことで想
定していたより後の時期まで利下げがずれ込むとの見方が広がるなか、買い進まれた後
の調整期間を迎えるなど、利下げ着手観測と実施の着手の時期のズレを修正する動きが
続いた。
 一方、今回の利下げ着手観測については、3月に入ってから発表された米国の経済指
標には弱気な内容が目立ったことで利下げ着手の思惑が高まったことが背景となってい
る。特に、6日に発表された1月JOLTS求人件数は12月の888.9万件を下回
る886.3万件にとどまっており、コロナ禍以前を上回る件数とはいえ、米雇用情勢
が緩和に向かっている様子を示している。
 さらに、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言での言及により、そ
の実施がより現実的になったとの認識が強まったこと、そして利下げ着手観測の高まり
を受けたドル売りの動きも金価格を押し上げる要因となった。
 3月1日の始値2052.8ドルから、7日までの5営業日で終値ベースでも115
ドル程度の上昇が見られたことになるが、ファンドを含む大口投機家が改めて買い進ん
でいることが背景と見られる。
 また、緩和傾向が強まっているとはいえ、インフレ上昇ペースは緩和しながらもコロ
ナ禍以前と比べると世界的に物価高となっている状況から、インフレヘッジとしての金
の役割が意識されていることも金価格を押し上げる要因になっている。
 ただ、一代の高値を更新する水準まで一気に価格が押し上げられたことで目先の買い
が一巡した可能性がある。
 年内の利下げ着手観測は引き続きNY金を支える要因になると見られ、金市場の買い
意欲は強いと予想されるものの、そろそろ上げ修正場面を迎えてもおかしくはない。
<銀>
 NY銀5月限は強い足取りを演じたNY金に連れ高となり4日には目先の上値抵抗線
となっていた2400セントを突破。これを上抜いた後も強い足取りを継続している
が、7日は高値から大きく値を落としており目先の上げ一巡とも見られる動きを呈して
いる。
 金の高止まりが見込まれるだけにNY銀の下値も堅いと見られるが、一方では独自の
買い要因の乏しさが重石になっている。
 2400セントを下値支持線とする一方で2500セントに近づくと上値が重くなり
そう。買い一巡から高もみあいにシフトするか。
<白金>
 NY白金4月限は今年1月半ば以降、920ドルを上値抵抗線とする足取りが続いて
いたが、7日に920ドルを上抜いた。金の堅調な足取りに追随した動きとなってい
る。
 白金独自の需給に関してはワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル
(WPIC)が2024年度も前年度に続いて供給不足との見通しを発表していること
も920ドル突破の一因になった可能性もあるが、同見通しの発表時期と白金価格上昇
の時期にズレがあるなど、需給引き締まり観測に対する市場の反応も限られたものにと
どまっている。
 金の上昇を反映して更に値位置を切り上げたとしても手掛かりに乏しいだけに940
ドル前後で上値が重くなると予想する。
<パラジウム>
 パラジウム6月限は他貴金属の上昇にもかかわらず頭重い足取りを演じていたが、6
日に急伸に転じて969ドルまで浮上。続く7日は反落したが、それでも1040ドル
台を保っている。
 パラジウム独自の要因の乏しいなかでの急伸であり、白金との価格差も意識されたと
見られる。白金の伸び悩みが予想されるためここから先の上げ余地は限られそう。上げ
一服からもちあいへシフトか。
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