石油週間見通し=80ドル台で上値試しか、中東情勢の緊張やFOMCが焦点

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油4月限は戻り高値を更新したものの、80ドル台
に定着することはできない状況。1月29日の高値79.09ドルから2月5日の安値
71.49ドルまでの下げ幅の1.236倍戻し(80.88ドル辺り)をほぼ達成し
た後、再び80ドル台を割り込んでいる。さらに戻り高値を更新する展開が続くとすれ
ば、1.382倍戻しの81.99ドル、1.618倍戻しの83.79ドル辺りが次
の上値目標となるとした。

【NY原油は戻り高値更新して80ドル台で上値試しか】
 ニューヨーク原油は14日の急伸で戻り高値を更新した。4月限は20日に納会する
ため、5月限が指標限月となるが、14日に81.03ドルまで上昇して、1月29日
の高値78.80ドルから2月5日の安値71.52ドルまでの下げ幅の1.236倍
戻し(80.52ドル辺り)を大きく上回った。次の上値目標は1.382倍戻しの
81.58ドル、1.618倍戻しの83.30ドル辺りとなる。本稿執筆時の15日
午後には80ドル台半ばのもみ合いとなっている。
 前回の当欄で指摘したように、10日の新月(日曜で取引なし)に近い11日に
76.43ドルの押し目底を付けた。日柄的に次の天井は25日の満月辺りに付ける可
能性を考えておきたい。いずれにせよ、2月上旬の安値68.85ドルからの「三段上
げ」の最終段階にあるとの見方を継続する。

 材料的には、引き続き中東地域の地政学的リスクがメインテーマとなっている。11
日に武装組織フーシ派を標的に米英連合軍がイエメン西部の港湾都市を空爆し、14日
にイスラエルがガザの支援物資配給施設を空爆し29人が死亡したことが報じられてい
る。ラマダン入りして余計に中東地域の緊張が強まっている感がある。
 このようななか、ハマスは14日、新たな休戦案を仲介国に提示したと発表した。イ
スラエル側は「非現実的だ」と非難したものの、15日に閣議を開いて改めて協議する
との報道もあり続報に注意したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は3万8000ドル台後半を中心に引
き続き高値圏でのもみ合いとなっている。
 ドルインデックスはドル安から一転して反発する展開となり、直近では103ポイン
ト台に乗せてきた。
 20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が発表されるため、目先はそれ
が注目されそうだ。

【2024年の世界石油需要の伸びを11万バレル上方修正=IEA月報】
 12日に石油輸出国機構(OPEC)、14日に国際エネルギー機関(IEA)の月報
がそれぞれ発表された。
 前者では、世界石油需要の伸びが2024年が日量225万バレル、2025年が同
185万バレルと、ともに前月から据え置きとなった。
 後者では、世界石油需要の伸びが2024年が同130万バレルと、前回から11万
バレル上方修正された。

【米国の原油在庫は7週振りに減少=EIA週報】
 米国内に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報で、原油在庫が前
週比153万6000バレル減の4億4699万バレルとなった。これまで6週連続で
増加していたが減少に転じた。製油所稼働率が86.8%と3週連続で上昇したことが
その背景と見られる。石油製品在庫は、ガソリンは同566万2000バレル減の2億
3408万バレルと引き続き減少していたが、留出油は同88万8000バレル増の1
億1790万バレルと増加していた。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である8月限は4営業日連続の陽線引けで戻り高値更新。上昇拡大
中のボリンジャーバンドの2シグマ(7万3790円辺り)を大幅に上回って引けた。
 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油5月限は再び80ドル台に乗せて戻り高値を更新。上昇拡大中のボ
リンジャーバンドの2シグマ(79.86ドル辺り)を大幅に上回って引けた。

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