石油週間見通し=下値余地に注目、ドル高や米政権の備蓄ガソリン放出の報で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油7月限は8日の76.63ドル、15日の
76.36ドルをダブルボトムとして、ネックラインの79.47ドルを上抜くと、
80ドルの節目を上抜いて行く可能性が高まりそうだとした。

【NY原油は80ドルが強い上値抵抗で反落】
 ニューヨーク原油7月限は結局、高値も20日の80.11ドルまででその後は反落
しており、80ドルの節目が非常に強い抵抗であることを確認した。目先は15日の安
値である76.36ドルを維持できるかどうかが焦点となっている。
 本稿執筆時の24日午後には76ドル台後半で推移しているが、仮にこれを割り込ん
だ場合、チャート上は、昨年12月13日の安値69.25ドルから今年4月12日の
高値86.16ドルまでの上げ幅の61.8%押しの75.71ドル、78.6%押し
の72.87ドル、そして全値押しの69.25ドルが次の下値メドとなる。ともあれ
まだ目先の底値を付けていないとみた方が良さそうだ。
 材料的には、今年の主要テーマとなっていた中東の地政学的リスクが材料としてのイ
ンパクトを軽減させる(はっきり言えば、これをお題目に買い越しファンドが80ドル
以上に持ち上げることができなかった)なか、このところのドル高進展もあって、指標
限月となった7月限をショート(売り)から入った(あるいは手じまい売り)というこ
とだろう。ただ大口投機玉を見ると、先物のみでもオプションを含むものでも、大口投
機玉の買い越しが20万枚台まで減少しており、数値的には買い直されやすい水準にあ
る。米国のドライブシーズン入りと目先の石油輸出国機構(OPEC)プラス会合がそ
のきっかけになるかどうかが目先の焦点となりそうだが、後者は無風通過の可能性が高
いとみられている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は史上初の4万ドル台乗せ後は反落基
調となり、直近は3万9000ドル水準まで下落している。
 ドルインデックスに関しては、再びドル高が基調が進展して直近は再び105ポイン
ト台に乗せてきた。
 原油にとってはともに向かい風になってきた。

【1日のOPECプラス会合は無風通過か】
 1日に予定されているOPECプラス会合については、現在の減産規模を7〜9月期
も維持するとの見方が優勢となっている。仮にそれまでに原油価格がさらに崩れても、
それ以上の価格維持政策を発表することは困難とみられることで、OPECプラス会合
は無風で通過する可能性が高そうだ。
【米国、ドライブシーズン前に備蓄ガソリン100万バレルを放出へ】
 米国に目を移すと、現状の株高誘導も米大統領選年特有と言うならば、ガソリン価格
の抑制も大統領選にとって非常に重要な要因となる。信用評価機関ムーディーズが、
「ガソリン小売価格が2〜3カ月にわたって4ドルを超えた場合はトランプが大統領選
に勝利する」と指摘するほどだ。
 そのようななか、米エネルギー省(DOE)は21日、北東部に保有するガソリン備
蓄100万バレルを放出することを明らかにした。放出は今月27日のメモリアルデー
(戦没将兵追悼記念日)から7月4日の独立記念日までに実施される予定。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である10月限は21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの
中心線(7万7650円辺り)が上値抵抗となるなか、−1シグマ(7万6430円辺
り)が現状支持線となっている。を挟んだ高下。17日は再び引けでそれを上回った。
 ガソリン先限は名目値で8万3000円の横ばいが続いている。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油7月限はボリンジャーバンドの中心線(79.67ドル辺り)に跳
ね返れる形で反落して4営業日連続の陰線引け。15日の安値76.36ドルを維持で
きるかどうかが目先の焦点となってきた。

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