<金> NY金8月限は6月7日の取引で大きく値を落とした後は、2310ドルを下値支持 線とする一方で2350ドルが上値抵抗線として意識されるもちあいとなっていたが、 20日の取引でこの上値抵抗を上抜き2379.5ドルまで上昇。高値を離れながらも 2370ドル台を維持して取引を終えるなど、地合いの引き締まりを感じさせる足取り となった。 この日、NY金を押し上げる要因となったのは5月の米住宅着工件数は前月比5. 5%減の12万7000戸と、2020年6月以来の低水準にとどまったことが背景と なった。 米連邦準備理事会(FRB)は、5月消費者物価指数(CPI)の伸びの鈍化にもか かわらず、サービス部門の高成長維持を受けて利下げ着手には慎重な姿勢を見せている が、高金利環境が米住宅需要にネガティブな影響を与えていることが明らかになったこ とで、利下げ着手に向けて前進する動きが見られるのではないかとの期待が高まってい る。 NY金市場の再重要材料は依然として米国の金融政策であり、本格的な上昇に向かう ためには米雇用情勢の軟化とこれを受けた賃金上昇率の鈍化を確認する必要がある。と はいえ、米高金利環境の長期化も米経済成長にとってのリスクになる可能性が改めて意 識されたことで、急落後の修正のための買い戻しが続く可能性が高く、NY金8月限は 2400ドル前後を目指す動きが見込まれる。 <銀> NY銀7月限は3000セントを上値抵抗線とする足取りが続いていたが、NY金の 地合い引き締めに追随する買いが見られ、20日に3084.5セントまで浮上。終値 ベースでも3078.5セントと6月7日以来の水準まで値を伸ばしている。 目先は急落後の修正が続くと予想されるが、高金利環境による財政悪化が安全資産と しての金を刺激する要因になる状況とは異なり、銀には逃避買い需要が集まる可能性を 見込むのは難しい。目先は6月7日の高値3167セントが上値目標になってくると見 られるが、それ以上の上げ余地は限られそうだ。 <白金> NY白金7月限は6月12〜17日にかけて950ドルを下値支持線とするもちあい となっていたが、金市場の上昇に追随して上値を探る足取りに転じている。5日間短期 移動平均線が下値支持線となっているところにチャート面での底意の強さが感じられる ものの、1000ドルを超える程度まで価格を押し上げる材料には乏しい。 金に連動しての底堅い動きが見込まれるものの上げ余地は限られそうでもちあいにシ フトか。 <パラジウム> NYパラジウム9月限は900ドルを下回る水準での低迷が続き18日には871 ドルまで値を落としてていたが、NY金、NY白金の堅調な足取りが手掛かりとなって 上昇。 ただ、パラジウム独自の材料には乏しいだけに、この上昇も短命に終わると見られ る。21日移動平均が通る937ドルが目先の上値抵抗線か。 MINKABU PRESS
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