<金> NY金8月限は6月7日に2304.5ドルまで値を下げた後は売り一巡感から買い 戻され、21日に2382.6ドルの高値をつけたが、その日のうちに急落となった。 24日以降は2300〜2350ドルのレンジでもちあっている。26,27日とも2 306ドル台で下げ渋り、2300ドルを支持線として強く意識している様子が窺われ る。 NY金市場の主要テーマは依然として米連邦準備理事会(FRB)による金融政策で あり、5月の米消費者物価指数(CPI)の鈍化や、弱気な住宅販売件数などが手掛か りとなって買われる場面があったが、FRBが利下げ着手に慎重な姿勢を受けて利下げ 着手期待が後退する動きが見られている。 5月の米消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)では伸びの鈍化が確 認出来たことは利下げ着手期待を高める要因となるが、サービス部門の伸びが高水準に とどまっているうえ、賃金上昇率もFRBが目標とする2%のインフレ率を大きく上回 る状態が続いている。 5月の非農業部門の就業者数の増加幅は前月比で27.2万人増と事前予想の18万 人を大きく上回るなど、米雇用情勢は依然として強気な状態にある。強気な雇用情勢は 賃金押し上げ圧力を高める要因になるが、賃金の上昇が止まらない限り、3%台に低下 しながらも、3%台で下げ渋る動きを見せている米CPIの2%台への低下は難しい。 FRBが利下げ着手に慎重な姿勢を見せているのも、雇用情勢の安定的な緩和とその 結果としてのサービス部門の成長率の低下を確認する必要が背景にあると見られる。 年内の利下げ着手回数に関しては米経済指標の内容を受けて0〜2回の間で市場の思 惑が揺れる状況が続いているが、雇用情勢の安定的な緩和が確認出来るまでは引き続き 2300ドルを支持線にしてのもちあいが続きそうだ。 28日に5月の米PCEデフレータが発表される。インフレの鈍化を示唆する内容の 報告があれば年内のFRBによる利下げ着手期待が高まるが、実際の報告にどのような 市場の反応が見られるかが注目される。 <銀> NY銀9月限は6月21日に大きく値を切り下げて以降、下値を探る足取りが続いて いる。2900セント割れには抵抗も見せているが、安全資産としての役割の薄さや 米国の高金利環境の長期化観測が引き続き重石になっている。 米高金利環境の長期化はドル高傾向を強めるうえ、設備投資意欲が後退する可能性も 高まるなか工業用としての銀需要にネガティブな影響を与える恐れもあるため、NY金 市場に比べて上値の重い足取りが続くと見られる。 28日に発表される5月の米PCEデフレータで、インフレ鈍化の兆候が示されるよ うであれば利下げ着手観測が高まり価格押し上げ圧力が強まる可能性もある。 <白金> NY白金10月限は6月13日には959.7ドルまで値を落とす動きが見られた が、その後は上値を探る足取りに転じ、21日には終値ベースで1000ドル台を回 復。24日の週には修正安となる場面が見られが後に持ち直して1030ドル台に達し ながらもその後に値位置を切り下げている。 売り警戒感が強まった後に終値ベースで1000ドル台を回復したことで買い一巡感 が強まった形となっている。 米連邦準備理事会(FRB)による利下げ着手への慎重な姿勢が引き続き重石となっ ていることに加えドル高傾向も上値を抑制する要因になっているため、下落の修正終了 後で1000ドルを下値支持線にしてのもちあいが想定される。ただ28日に発表され る5月の米PCEデフレータが強気の数字になった場合、ドル高から手じまい売り要因 となり、1000ドル割れリスクあり。 <パラジウム> NYパラジウム9月限は24日の取引で大きく値を伸ばして968ドルの高値を付け たが、翌25日には急反落に転じ、続く26日も続落して24日の上げ幅を相殺してい る。 独自の手掛かりに欠けるなかで白金の足取りに追随する動きを見せている。950 ドルの節目が上値抵抗線として意識される一方、900ドルを割り込んだ後に下値を固 めて浮上した形となっているためチャート面から900ドルを割り込む下落には抵抗を 見せることが予想される。目先は900〜950ドルのレンジでの高下が続くと見られ る。 MINKABU PRESS
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