<金> NY金は9月26日に2708.7ドルに達し、指標限月としての最高値を更新。そ の後、2650ドルを支持線にしての高もみあいが続いている。 2日に発表された9月の米ADP雇用統計は事前予想を上回り、米雇用情勢の底堅さ を示したが、同時に注目されるのが4日発表の米労働省による雇用統計となる。この報 告で米雇用情勢の底堅さが示されるようであれば、再度の大幅利下げ観測が強まり、金 市場にとっての買い支援要因となる可能性が高い。 CMEのFedwatchによると10月3日時点の12月米公開市場委員会(FO MC)でのフェデラルファンド(FF)レートで4.25〜4.50%を予想する比率 は43.4%であり、4.00〜4.25%以下を予想する比率は56.4%となって いる。9月後半は優勢だった大幅利下げ見通しが大きく後退している。 米雇用情勢は強弱が入り混じる発表が続いている。8月のJOLT求人件数も5月以 来となる800万台を記録し、回復傾向を見せたが同月の非農業部門雇用者数の伸びは 事前予想を下回り、雇用の伸びが鈍化を示している。失業率は4.2%で上昇の可能性 を残す水準にあるが、一方で賃金は上昇傾向を維持している。 米雇用情勢を見る限り、必ずしも悪化の一途とは言えない状況だけに、4日の米労働 省雇用統計の内容次第ながら、米大幅利下げ観測はさらに後退し、金市場の上値は抑制 される可能性がある。 その一方で中東ではイスラエルとイランの緊張の高まりが安全資産を求める動きを刺 激している。イランの大規模ミサイル攻撃にイスラエルが対抗措置を取りイランの石油 施設への攻撃が実施される可能性も浮上している。 中東情勢不安も引き続き金価格をサポートする要因となりそうで、NY金12月限は 2650ドルを下値支持線にしての高下が続くと予想される。 <銀> NY銀12月限は金同様に高止まりとなり3200セントを前後する動きが続いてい る。強気な米製造業指数は工業用としての銀需要期待を高める要因になり得るが、米国 の強気な経済指標が利下げ観測を後退させる可能性が意識されて上値は抑制されてい る。 独自要因よりも金との連動性が意識されるなか、米雇用統計の内容次第ながら、引き 続き3200セント付近で高下しそうだ。 <白金> NY白金1月限は1000ドルを前後するもちあいとなっている。米国の大幅利下げ 観測が後退するなかドル高傾向が進行し上値が重いものの、金の高止まりが下支え要因 になっている。 金の足取りを意識した展開が続いているため、引き続きこの水準での高下が続くと予 想される。ただ大型連休明けの中国の株式市場の動向、中国の景気、経済に関するニュ ースが材料視され、新たな方向性を示す可能性あり。 <パラジウム> NYパラジウム12月鍵居は9月27日に軟化し1050ドルを大きく割り込んだ後 は1000ドル前後まで値を落としたが、この水準では下げ渋っている。 NY白金とほぼ同じ値位置での高下となっており、白金との値開きは大幅に縮小して いるが、値開きの修正に向かうきっかけとなる材料が見当たらないだけに上値は重そ う。もちあい継続が見込まれる。 MINKABU PRESS
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