金・銀週間展望=堅調、ウクライナ情勢に対する懸念が支援

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [11月25日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年 10 月限  11 月 18 日〜 11 月 22 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          12,910    13,458 (22)   12,750 (18)     13,458         +531
  銀           153.7     160.9 (21)    153.7 (18)      156.9         +1.9
 プラチナ       4,699     4,867 (21)    4,655 (18)      4,798          +91
 パラジウム     4,800     5,100 (20)    4,800 (18)      5,100         +300
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        22  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,737.2    +143.6   | ドル・円    154.91      1.27 円高
  銀       ( 3) 3,177.6     +92.1   | 日経平均  38,283.85       -359.06
 プラチナ   ( 1)   975.1     +30.0   | NY原油 ( 1)  71.24         +4.32
 パラジウム (12) 1,019.30    +76.00  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 22日
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【前回のレビュー】
 金は米共和党のトリプルレッドでドル高が圧迫、とした。
 金はウクライナ情勢に対する懸念を受けて買い優勢となった。現物相場は8日以来の
高値2691.04ドルを付けた。金先限は7日以来の高値1万3458円を付けた。
 バイデン米政権は17日、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃する
ことを許可した。北朝鮮によるロシアのウクライナ戦線への派兵を受け、方針を転換し
た。ウクライナは19日に米国製の長距離ミサイル「ATACMS」6発でロシアを攻
撃し、20日に英国製の長距離ミサイル「ストームシャドー」と米国製の高機動ロケッ
ト砲システム「ハイマース」で攻撃した。ATACMSを使用した攻撃では深刻な被害
を受けなかったとした一方、西部クルスク州に対するストームシャドーを用いた攻撃で
は死傷者が出た。ロシアのプーチン大統領は21日、新型の中距離極超音速非核弾道ミ
サイル「オレシュニク」を、ウクライナのドニプロにあるミサイル・防衛企業を標的に
試験的に発射し、攻撃は成功したと述べた。ロシアに対する攻撃に使用された兵器の供
与国の軍事施設を攻撃する可能性があると表明した。ウクライナのゼレンスキー大統領
は、ロシアが新型の弾道ミサイルでウクライナを攻撃したことは「明確で深刻なエスカ
レーション」と非難し、ロシアに対する世界的な強い行動を呼びかけた。トランプ次期
米大統領が就任したのち、停戦交渉が開始されるとみられていたが、紛争が激化する
と、第3次世界大戦となる可能性も出ている。
 10月の米小売売上高は前月比0.4%増加した。自動車や電化製品の堅調な売り上
げを受けて事前予想の0.3%増を上回った。10月の米輸入物価指数は同0.3%上
昇した。事前予想の0.1%下落から予想外に上昇し、インフレ抑制の進展が見られな
いことを改めて示唆した。10月の米鉱工業生産指数は同0.3%低下と事前予想と一
致した。2カ月連続の低下となり、米国を相次いで襲った大型ハリケーンのほか、米航
空機大手ボーイングのストライキの影響が引き続き響いたとみられる。米新規失業保険
申請件数は前週比6000件減の21万3000件と、4月以来の低水準となった。事
前予想は22万件。米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は、インフレが依然と
して懸念材料となる一方で労働市場は堅調だと指摘し、さらなる利下げには慎重な姿勢
を取るよう求めた。クック米FRB理事は、インフレは引き続き緩和しているとした上
で、利下げ継続が適切となる可能性が高いとの見方を示した。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は21日時点で
1066.15トンとなり、前週末比7.56トン増加した。米国で8.04トン、英
ETFSで0.04トン増加、英GBSで0.10トン、オーストラリアで0.26ト
ン、南アで0.15トン減少した。ウクライナ情勢に対する懸念を受けて投資資金が流
入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月
12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6451枚となり、前週
の25万5329枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万0591枚、買い戻しが
1713枚入り、1万8878枚買い越し幅を縮小した。
 イスラエルのネタニヤフ首相は18日、イスラエルが10月にイランの核関連施設の
一部を攻撃していたことを明らかにした。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務
局長は、イスラエルが10月に空爆したテヘラン近郊のパルチン軍事施設について、一
部が核関連施設であったり、核物質が存在していたりした兆候はないと述べた。一方、
米国が仲介するレバノンの親イラン武装組織ヒズボラとイスラエルの停戦交渉が進行し
ているが、イスラエル軍の空爆が続いている。レバノン高官は米国の停戦案の変更を要
請し、レバノン南部からのイスラエル軍の早期撤退などを求めており、合意に向けて課
題が残っている。
【銀は金堅調もドル高に上値を抑えられる】
 銀の現物相場は金堅調につれ高となったが、31.48ドルで上げ一服となった。有
事のドル買いに上値を抑えられた。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下
げ確率が57.8%(前週72.2%)に低下したこともドル高要因となった。
 21日のニーヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比216.91ト
ン減の1万4635.86トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の
建玉明細報告によると、11月5日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
5万3346枚となり、前週の6万0431枚から縮小した。手じまい売り、新規売り
が出た。
当面の予定(イベント・経済統計)
25日 独景況感指数 2024年11月(ifo)
26日 米ケース・シラー住宅価格指数 2024年9月(S&P)
    米新築住宅販売 2024年10月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2024年11月(カンファレンスボード)
27日 政策金利公表(NZ準備銀行)
    中国工業利益 2024年10月(国家統計局)
    米国内総生産 2024年7-9月期改定値(商務省)
    米耐久財受注 2024年10月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米個人所得・支出 2024年10月(商務省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2024年10月(全米不動産協会)
    米FOMC議事録公表 11月6-7日(FRB)
28日 ●米国(サンクスギビングデー)
    独消費者物価指数 2024年11月速報(連邦統計庁)
29日 労働力調査(失業率) 2024年10月(総務省)
    鉱工業生産指数 2024年10月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2024年10月速報(経済産業省)
    独雇用統計 2024年11月(連邦雇用庁)
    ユーロ圏消費者物価指数 2024年11月速報(EUROSTAT)
    シカゴ購買部協会景気指数 2024年11月(シカゴ購買部協会)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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