ドル円は激しく上下動 米雇用統計で今年の米利下げ期待が後退=NY為替概況 きょうのNY為替市場でドル円は激しく上下動した。この日発表の米雇用統計が米労働市場の力強さを示したことで為替市場はドル買いが強まり、ドル円も158円台後半まで急上昇していた。 しかし、動きが一巡すると今度は戻り売りが次第に強まる展開となった。米株式市場でダウ平均が一時700ドル超下落したことで、リスク回避の円買いが出ていた可能性もありそうだ。ユーロ円やポンド円も急落している。ただ、終盤になって株安も落ち着いていることから、ドル円も買い戻されている模様。 本日の米雇用統計を受けて、FRBの今年の利下げ期待がさらに後退しており、短期金融市場では秋まで利下げはないとの可能性が浮上している。前々日は7月だった。動向が注目されている米国債利回りも急上昇し、10年債は一時4.78%まで上昇。 米大手銀のエコノミストからは、FRBの利下げサイクルは終了し、次の動きは利上げになるリスクがあるとの分析も出ている。今後、PCEデフレータが前年比3%を超え、インフレ期待が高まった場合、話題は利上げに移るだろうと述べた。 ユーロドルは1.02ド台前半まで一時下落し、年初につけた22年11月以来の安値に並んでいる。ただ、対ポンドでは上昇しており、これまで見られたような一方的な弱さでもない。 一部からは、ユーロは過小評価され過ぎているとの声も出ている。為替と短期金利の動静が乖離するにつれてユーロの過小評価は拡大しているという。ユーロとドルのスワップレートの差が最後に現在の水準となった11月のユーロドルは1.05ドル前後で取引されていた。これは、市場がユーロに対してかなりのネガティブ要素を織り込んでいることを示唆しているという。 ポンドドルは一時1.21ド台まで下落する場面が見られた。英国では財政不安が広がっており、英国債の売りが止まらずに利回りは上昇し続けている。それに伴ってポンドも売られている格好。奇跡的成長と経済安全保障、公的財政の安定を掲げて政権入りしたリーブス財務相だが、就任から半年で早くもそのもくろみは潰えようとしている。英国が世界的な債券安の中心となる中で、財務相は市場の信頼維持に苦戦している。 昨年の総選挙で責任ある財政を唱え、英労働党にとって14年ぶりの政権奪回を実現させたが、投資家の反乱により借り入れコストが上昇し、公的財政が悪循環に陥るリスクが生じている。利回りの上昇が続けば経済を圧迫し、リーブス財務相が向こう数週間に計画しているとされた「成長戦略に関するスピーチ」も修正を迫られそうだ。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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