トランプ発言でリスク回避のドル高・円高=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが優勢となり、150円台を一時回復している。トランプ大統領がメキシコとカナダ、そして中国への10%の追加関税を3月4日に発動すると述べた。4月2日の相互関税の日付は完全に有効なままとも言及。これを受けて市場はリスク回避の反応が出ており、為替市場はドル高・円高の反応が見られた。ドル円は上昇していたものの、ユーロ円やポンド円は下落。 関税発動は4月以降とも見られていただけに、市場には驚きが広がったようだ。市場は改めて不透明なトランプ大統領の関税政策へのリスクを感じ取っている模様。また、月末接近ということもあり、このところのドル安の巻き戻しが出ていたとの指摘も出ている。実需のドル買い戻しが出易い状況下での関税のニュースだったのかもしれない。 ただ、ドル円は積極的な上値追いまでは見られていない。150円台に入ると戻り売り圧力も強まるようだ。明日は東京都区部の消費者物価指数(CPI)が発表になるが、日銀の早期利上げへの市場の期待を裏付ける内容になる可能性もあり、円高を警戒した動きは根強い。また、明日はFRBが重要視している1月のPCEデフレータも発表される。 ユーロドルは1.04ドルちょうど付近に下落。前日は1.05ドル台を回復していたが、1.05ドル台前半に来ている100日線で上値を止められた格好となった。 インフレ圧力が高まる中、エコノミストはECBが利下げを一時停止する選択をする可能性があると指摘している。ユーロ圏の基調インフレは圧力が緩和する中、ECBの目標である2%に向かって低下している。しかし、エネルギー価格上昇により総合インフレが長期に渡って高止まりする可能性もあるという。また、サービスインフレや関税の可能性もインフレ低下の道筋を脅かすリスクがあると指摘。 その上で、ECBは来週の理事会で追加利下げを行う可能性が高いが、その後は利下げペースを緩める選択をする可能性があるという。 ポンドドルは1.26ドル割れを試す展開。1月中旬からのリバウンド相場の流れに変化はなさそうだが、本日1.27ドル台後半に来ている200日線を前に若干上値が重くなっている雰囲気もある。 本日はスターマ―英首相がワシントンを訪問し、トランプ大統領と会談を行っている。ウクライナ問題や軍事基地といった安全保障が議題の中心のようで、通商関連のニュースは少ない。トランプ大統領はEUには自動車などに25%の関税を課す方針を示していたが、英国に関してはまだない。英政府は、英国は米国と貿易問題を抱えておらず、関税はないのではと考えているようだ。 本日はディングラ英中銀委員の講演が伝わっていたが、「世界経済が分断されても、秩序ある形で分断されれば、各国の経済が移行し、新たな地政学的展開を反映して価格が再調整される間、金融政策による対応は必要ない」と述べていた。英中銀はサプライチェーンの混乱の程度次第で対応していくとの考えを示している。また、英国のインフレへの全体的な影響については、米国の輸入コスト上昇とドル高による直接的な影響は、世界的な物価上昇圧力の低下によって相殺される可能性が高いとしている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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