【これからの見通し】トランプ発言で市場は混乱、きょうは米CPIを冷静に確認したいところ

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【これからの見通し】トランプ発言で市場は混乱、きょうは米CPIを冷静に確認したいところ

 トランプ米大統領が米景気後退について、その可能性を否定しなかったことが市場のリスク回避の動きを強めた。しかし、その後、「米国がリセッション(景気後退)に陥るとは全く予想していない」としたことで市場は右往左往している。トランプ発言で「アニマル・スピリッツ」という言葉が使われていたが、皮肉にもここ一両日の値動きはトランプ自身から発せられた言葉で市場が感情的?に反応していたようだ。

 今年に入ってからは米株と日本株の下落傾向、欧州株と中国・香港株の上昇傾向が鮮明になっている。為替市場では、ドル安と円高にユーロ高が加わる構図が出来上がってきている。各国の金融政策の方向性の差異やウクライナ戦争をめぐる欧州の政治状況の変化などが背景になっている。

 このような中期的な流れの変化をきょうの2月米消費者物価指数(CPI)の発表内容で確認することとなろう。前年比の予想は+2.9%(前回+3.0%)、コア前年比は+3.2%(前回+3.3%)、前月比予想は+0.3%(前回+0.5%)、コア前月比は+0.3%(前回+0.4%)となっている。いずれも小幅に伸びが鈍化することが見込まれている。予想から上振れる結果がみられなければ、足元でのドル安の流れには目立った変化はみられないものと想定されそうだ。

 この後の海外市場で発表される経済指標は上記米CPIのほかに、トルコ経常収支(1月)、インド鉱工業生産指数(1月)、インド消費者物価指数(CPI)(2月)、米MBA住宅ローン申請指数(03/01 - 03/07)、カナダ中銀政策金利(3月)などが予定されている。

 カナダ中銀は政策金利を25bp引き下げて2.75%とすることが市場コンセンサスになっている。発表後にはマックレム加中銀総裁の記者会見が予定されている。

 発言イベント関連では、シムカス・リトアニア中銀総裁、ラガルドECB総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、エスクリバ・スペイン中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、ナーゲル独連銀総裁などECBウォッチャー会議に関連した講演予定が多く組まれている。ECB中銀預金金利が中立金利水準に近づいているとの認識が広がるなかで、今後の利下げについては毎回の会合で検討され、予断は持たずとの姿勢が貫かれそうだ。そのなかでのタカ・ハトのニュアンスを探ることとなろう。

 このあとの欧州市場では、明日からのドイツ議会での防衛費関連法案審議を控えて、昨日の緑の党の発言の続報などをチェックしておきたい。
 
minkabu PRESS編集部 松木秀明

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