【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限は戻り基調。チャート上は、1月15日の 高値76.57ドルから3月5日の安値64.85ドルまでの下げ幅の23.6%戻し の67.62ドルをすでに上回っていることで、次は38.2%戻しの69.33ド ル、69.33ドルを上回ると、70ドルの節目、そして半値戻しの70.71ドルが 次の上値目標となるとした。 【NY原油5月限は70ドル台から上を目指すか否か】 ニューヨーク原油5月限は日足が日替わりで陽線と陰線を繰り返しているが、全体と して戻り基調を継続して、ここまでの高値は26日の70.22ドルと、一時70ドル 台に乗せた。そのあと27日は終日、70ドル台割れで推移した。 チャート上は、前回の当欄で記した半値戻しの70.71ドルが次の上値目標となる が、仮にそれを抜けると、61.8%戻しの72.09ドル、78.6%の74.06 ドル辺りが次の上値目標となる。なお本稿執筆の28日の午後時点には69ドル台後半 で推移している。 材料的には、トランプ政権をきっかけにした各国の報復関税合戦による貿易摩擦、需 要減退懸念が引き続き上値抑制要因となる。米国は4月3日以降、これまで免除されて きた「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象製品の輸入に25%関税を賦 課し、同様に米国への輸入自動車にも25%の関税を賦課する予定。 一方、米国がベネズエラ産原油の輸入国々に関税を賦課したことや、さらにイラン産 に対する新たな制裁を科したことなとが逆に原油の供給不安が支援材料として浮上して いる。 またイランに関しては、3月初めにトランプ米大統領が最高指導者のハメネイ師に書 簡を送ったことが報道されており、それはイランの核開発に対する警告とみられている が、イランがオマーン経由で米国に返信したことも報じられている。またイエメンのフ ーシ派を攻撃した米国がその背後にいるといわれるイランに最後通牒を送ったとみる向 きもあり、米国がイランを攻撃するという地政学的リスクにも十分注意したい。 その他の産油国側のニュースとしては、石油輸出国機構(OPEC)プラスが4月か ら日量13万8000バレルの増産を実施する予定のため、これは圧迫要因となる。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は戻り基調となり、4万2000ドル 台前半で推移。 ドルインデックスは3月に入ってからの急落も103ポイント水準でダブルボトムを 付ける形で、104ポイント水準まで戻している。 【インド、ロシア産原油の入港拒否】 ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア産原油輸入の二大国となっているインドと中国だ が、そのインドがロシア産原油輸送船の入港拒否したことが報じられている。書類の不 備が原因とされているが、欧米のロシア制裁強化の動きに忖度したものか。 ロシア石油大手、ルクオイルがインド国営石油会社、インディアン・オイルに売却し たもので、ロシア産バランディ原油約10万トン。 ロシア産原油は2024年のインドの原油輸入の35%を占めた。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である8月限はさらに戻り基調を継続して、ついにボリンジャーバ ンドの2シグマ(6万7270万円辺り)を試す展開となっている。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル】 ニューヨーク原油5月限も上昇トレンド。70ドルの節目とボリンジャーバンドの2 シグマ(70.40ドル辺り)を試す展開となっている。 ブレント原油5月限も同様の展開。5日移動平均線がほぼ上昇トレンドラインとな り、ボリンジャーバンドの2シグマ(74.40ドル辺り)にほぼ到達している。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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