ドル円、146円台に伸び悩む リスク回避の円高が根強い=NY為替概況 きょうのNY為替市場、円高が優勢となり、ドル円は146円台に伸び悩む展開。序盤は前日までの嵐も一服し、米株も買い戻されていたが、結局上げを維持できずに下落。その動きを見てドル円も下落した。本日は米国債と伴に日本国債の利回りも上昇し、円高をサポートしていたようだ。 一旦、嵐が止んでいたとはいえ、情勢に何も変化はなく、明日からの関税への懸念が強い。ホワイトハウスは同盟国との交渉の席につくトランプ大統領の姿勢とは裏腹に、貿易相手国に重い相互関税を課す計画を打ち出している。米国通商代表部(USTR)のグリア代表は本日の議会公聴会で、トランプ大統領は当面、関税免除措置を発動しない方針だと述べていた。 ホワイトハウスは中国に対して、追加の50%を上乗せして計104%の関税を課す意向を示したほか、2国間協議は開始しているものの、ベトナムに46%、日本にも24%の課税が課される。 特に中国については、トランプ大統領は、中国が報復措置を撤回しなければ、追加で50%の関税を課すことを示唆していたが、それに対して中国は「関税戦争と貿易戦争を仕掛けてくるなら、中国はとことんつきあう」と対抗措置を取る構えを示し、米中の貿易戦争はエスカレートしそうだ。 また、ドルのヘッジコストが上昇しており、トランプ大統領が昨年11月の大統領選を制して以後最も高い水準に上昇している。それはトレーダーが今後、ボラティリティーがさらに高まると見込んでいることを示唆。市場はドルにも慎重と見られ、それもドル円の重石となっていたようだ。 ユーロドルは1.09ドルを割り込む場面も見られたが、全体的に1.09ドル台で上下動。本日の21日線が1.0865ドル付近に来ていたが、その水準は維持され、1月からのリバウンド相場は堅持している。しかし、次第に上値が重くなって来ている雰囲気も出ている。 トランプ大統領は、米・EU間で工業製品の関税を互いに撤廃することを求めたEUの提案を拒否した。これにより、対EUの相互関税20%は明日発動することになる。トランプ大統領は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長の提案は、米EUの通商関係をリセットするには不十分と述べ、EUは他の関税障壁を維持していると非難した。 ポンドドルは買い戻しも見られていたものの、1.28ドルを回復することなく伸び悩む展開。前日にブレイクした200日線が1.2815ドル付近に来ているが、その水準に上値を抑えられている状況。 先週のトランプ関税の発表により、英経済の減速リスクが高まり、英中銀の追加利下げや、英政府に財政支出拡大の可能性が浮上し、ポンドは打撃を受けている。ストラテジストからは、ポンドが最近の損失を取り戻すには、世界的なリスク選好の回復が必要との見解が出ているが、その可能性がまだ低いと考えられている。 最低水準ではあるが、英国は10%の関税が課される可能性が高い。米英の貿易関係からは、英国への関税賦課は除外されると考えられていただけに、ショックも大きいようだ。このような中、市場では年末までに3回の利下げを完全に織り込む展開となっている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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