【前週のレビュー】ニューヨーク原油6月限は65ドルの節目とそれに近い半値戻し (65.09ドル辺り)をほぼ達成後に反落した形。65ドルが引き続き上値目標にな るとした。 【NY原油は安値から戻して60ドルが上値目標】 ニューヨーク原油6月限は結局、半値戻しから大きく崩れる展開となったが、その日 のうちに安値から急反発した。1日には56.39ドルまで崩れた後に大きく戻してい る。4月9日の安値54.67ドルから23日の高値64.87ドルまでの上げ幅の 78.6%押し(56.85ドル)を達成後に大きく切り返して、本稿執筆時の2日の 午後には59ドル台後半で推移している。 すでに前述の下げ幅の38.2%戻し(59.63ドル辺り)を達成してこのまま底 入れする可能性が高まっている。目先は60ドルの節目、そして半値戻し(60.63 ドル辺り)が次の上値目標となる。差し当たりはそれを上抜けることができるか否かに 注目したい。 材料的には、ロイター通信がサウジアラビア当局者が今後さらなる減産で原油価格を 下支えする意向がないと報じたことで1日に大きく崩れたが、そのあとサウジ当局がこ の報道を否定したことで大きく切り返した。結局、報道機関が「口先介入」した形とな った。 また、トランプ米大統領がイラン産原油の購入相手に二次的制裁を科すと警告したこ とも戻り場面で支援材料となった。米国の対イラン強硬姿勢は続いており、3日にロー マで開催予定だったイランの核開発をめぐる4回目の米国とイランの協議は延期され た。これは5月以降も潜在的な中東の地政学的リスクとして続きそうだ。 石油輸出国機構(OPEC)プラスが5日に会合を開催予定。自主減産を実施してい る8カ国の6月に日量41万1000バレル生産拡大の決定はほぼ既定路線と見られて いたが、直近の原油の安値からの急反発やサウジの発言などを見るとやや不透明感も出 て来た。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万ドル台を回復してからは大きく 地合いを引き締める展開となっている。 ドルインデックスは安値から戻す展開。4月には一時97ポイント台半ばまで軟化し ていたが、直近は99ポイント台後半まで戻して、100ポイント台を伺う水準にあ る。 【4月のベネズエラ原油輸出、米国の制裁で9カ月振りの低水準】 産油国側のニュースとしては、トランプ政権のベネズエラ制裁再開で、4月の同国の 原油輸出が前月比20%減の日量70万バレルと9カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。ト ランプ政権はシェブロンに与えていた同国での事業許可取り消しを決めており、猶予期 限は5月27日だが、すでにベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が前倒しでシェブ ロンに許可していた輸出枠の効力を停止したことが4月の輸出減少につながった。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である10月限は21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの 中心線(5万6700円辺り)が抵抗になる形で崩れたものの、2日はー2シグマ(5 万1800円辺り)までは下げずに大陽線となり、5万5000円の節目を再び試し た。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油6月限はボリンジャーバンドの中心線(62.05ドル辺り)を超 えられずにその後は3営業日連続で陰線を付けたが、1日はー2シグマ(56.55ド ル)を試した後に急反発して、長大下ひげ陽線引けとなり陰の極を付けた形となってい る。 ブレント原油7月限もほぼ同様の展開。ボリンジャーバンドの中心線(68.07ド ル辺り)に跳ね返され後、1日にー2シグマ(59.65ドル辺り)を試した後に急反 発した。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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