ドル円、下げ渋るも145円台では上値重い 米格下げは特に驚くべきことではないとの見解も=NY為替概況 きょうの為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円も一時144.65円付近に下落する場面が見られたが、NY時間に入ると下げ渋っている。ただ、145円台に入ると戻り待ちの売りオーダーも観測され上値は重い印象。 先週末の金曜日の終了間際に、ムーディーズが米国を格下げしたことがドル安を誘発している模様。ムーディーズは米国の格付けを最高ランクの「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。この動きはフィッチとS&Pに続く。ムーディーズは声明で、近年における米連邦債務の急増と、他国よりも高い金利を理由に挙げていた。 ただ、一部からは「米国の格付け見通しが長期間に渡ってがネガティブウォッチ下に置かれていた事実や、S&Pとフィッチがすでに同様の措置を講じていることを考慮すれば、今回の格下げは特に驚くべきことではない」といった見解も出ていた。 オプション市場では、ドル安を想定したポジションが増えており、ドル離れへの為替市場の構造変化を予測する動きは根強い。米中協議の進展を受けたリスク選好も一巡し、市場も次の展開に備えている中、ドル離れへの警戒は根強くあるようだ。その意味でも、今回のムーディーズの格下げはドルショート勢の背中を押している模様。 ユーロドルは一時1.12ドル台後半まで上昇する場面が見られた。ただ、NY時間に入ると伸び悩む展開。米関税が米経済の成長に打撃を与える場合、ユーロドルはさらに上昇する可能性があるとの指摘がエコノミストから出ている。米関税は米成長に明確なマイナスの影響を与えるという。 インフレへの潜在的影響は測定が困難だが、需要の破壊はインフレへの即時的な影響よりも深刻な影響を及ぼす危険性があるという。米例外主義の終焉と米国資産への信頼喪失は、ドイツのインフラと防衛支出パッケージとともにユーロを支援するだろうとも指摘した。 ポンドは堅調な展開となり、対ドルにみならず対ユーロでも上昇。本日は英国とEUの首脳会談が行われ、貿易の円滑化と安全保障協力の強化で合意した。5年前の英国のEU離脱以降で、関係改善に向けた最大の一歩を踏み出したこともポンドを下支えしている。 双方はロンドンで合意を発表し、EU離脱撤回まではないが、双方が長年の対立を克服したことを示した。ロシアのウクライナ侵攻やトランプ大統領の復帰を受けて、欧州では結束の強化がますます緊急性を帯びている。 スターマー英首相は「陳腐な議論や政治的対立を止め、最も英国民のためになる常識的で実践的な解決策を見出す時だ」と述べた。一方、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「欧州は団結している」と語った。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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